草津白根山噴火 九州も改めて警戒したい

西日本新聞

 またしても「想定外」とされる火山噴火である。

 本白根山(もとしらねさん)(群馬県草津町)が噴火した。国内有数の活火山、草津白根山を構成する3山の一つだ。前回の噴火は約3千年前だったとされ、気象庁など関係機関でさえほぼノーマークだったという。

 北に約2キロ離れた白根山には監視カメラを設置して、火山活動を常時観測している。そこでも本白根山の噴火の前兆を捉えることはできなかった。

 改めて確認したいのは、事前の避難につながる火山噴火の予知技術は確立されていないことだ。

 全国には111もの活火山がある。このうち2000年の有珠山(北海道)噴火は例外的に予知に成功した。約350年前からの豊富な噴火記録や充実した観測態勢が整っていたからだ。

 九州にある17の活火山のうち、阿蘇山の中岳第1火口(熊本県)では一昨年秋、36年ぶりに爆発的噴火が起きた。山体の隆起など噴火の前兆と取れる動きがあったものの、比較できる過去のデータが乏しく噴火は予測できなかった。

 本白根山の噴火は、地下水が熱せられて起きる「水蒸気噴火」だったとみられる。マグマ噴火と違い、地殻変動などの前兆が表れにくい。不意に登山客を襲った14年の御嶽山(長野、岐阜県境)噴火も水蒸気噴火だった。

 阿蘇山や桜島(鹿児島市)を含め、活動が活発な全国50の活火山は常時監視されている。

 ただ、それぞれ噴火口は1カ所とは限らない。マグマは、地中の通り道を探して、幾つもの火口をつくる。9世紀に起きた富士山の貞観大噴火は、山麓から爆発したことで有名だ。

 政府は3年前、主要な活火山の周辺自治体などに、住民らの避難計画を作るよう義務付けた。大半は専門知識の不足などから未完成だという。策定を急ぐとともに計画の不断の点検も欠かせない。

 噴火はいつ、どんな規模で起きるか分からない自然の猛威だ。「想定外」とは、人間の側の尺度にすぎないことを再確認したい。


=2018/01/25付 西日本新聞朝刊=

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ