降り積もったときは白くても、解けるに従って真っ黒に変色していく…

西日本新聞

 降り積もったときは白くても、解けるに従って真っ黒に変色していく。そんな雪の光景に驚いたのは15年前。中国・北京の支局に赴任して最初の冬だった

▼原因は大気汚染。工場のばい煙、車の排ガス、暖房で大量に燃やされる石炭のすす…。それらを雪が吸収し、地上に落下させる。いわば自然の力による空気の浄化作用でもある

▼先週の列島は騒がしかった。首都圏などを襲った寒波と大雪。テレビは交通機関の乱れや事故の多発などを声高に伝えた。草津白根山の突然の噴火も重なった。災害への備えは重要だ。ただし雪を厄介者と決めつけてはなるまい

▼都会人はとかくせっかち。雪の朝の澄んだ空気や純白の景色をじっくり味わう心の余裕を失っていないか。北国の山々を覆う雪は春先からじわじわと解けだして豊潤な水を田畑に送り、作物を育てる。そんな営みにも思いをはせたい

▼こちらも「雪の恩恵」ではないか。韓国・平昌で来月開幕する冬季五輪。北朝鮮の参加が決まり、南北対話の機運が醸成された。安倍晋三首相の五輪開会式への出席、それに合わせた日韓首脳会談も実現しそうだ

▼北京で初めて乗ったタクシーの運転手は陽気な親日家だった。彼が口ずさんでくれた歌も思い出す。千昌夫さんの「北国の春」。中国でも広く知られ、いまだ多くの人が愛唱している。冬来りなば春遠からじ-。東アジアの緊張の“雪解け”も待ち遠しい。


=2018/01/28付 西日本新聞朝刊=

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