一極集中加速 「地方創生」の手法見直せ

西日本新聞

 人口の東京一極集中は加速するばかりで、地方からの転出に歯止めがかからない。安倍晋三政権の「地方創生」は十分機能しておらず抜本的な見直しが求められる。

 東京の人口が突出して増加し、富も集積する。地方は軒並み減ってシャッター通りや耕作放棄地が広がる-こうしたいびつな社会構造を放置していいはずがない。九州にとっても深刻な課題だ。

 住民基本台帳の転入者と転出者を基に算出した2017年の人口移動報告を総務省が発表した。

 東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県)は転入者が転出者を11万9779人上回った。転入超過は22年連続で、超過人数は前年に比べて1911人増えた。

 政府は15年度から5年計画の地方創生で、東京圏の転入・転出を20年に均衡させる目標を掲げたが、実現は絶望的ではないか。

 東京圏以外では福岡、大阪、愛知の3府県を除く40道府県、市町村では全国の76・3%が転出超過となった。市町村別転出超過数は北九州市の2248人が全国最多で、長崎市が3番目に多かった。

 地方への人口移動策として、政府は本社機能を地方に移す企業向け優遇税制、中央省庁機関の地方移転を打ち出したが、いずれも大きな成果は上げていない。

 そこで今度は「学生の転入を抑制する」として、東京23区にある大学の定員増を10年間禁止する法案を通常国会に提出する予定だ。

 だが、学生だけが一極集中を引き起こしているわけではない。経済の仕組み、資金や情報の流れなど多くの要因が絡み合っている。大学定員増禁止などお門違いだ。

 地方自治体に配分する地方創生交付金には地方の自主性や独自性があまり発揮できないとの指摘もある。これまでに計5600億円も配分したが、実質的な効果はどれほどあったのか疑問だ。

 どんな地方活性化を目指し、東京一極集中をどう是正するか。年限を区切ったキャンペーンのような政策と手法では限界がある。地方の特性に寄り添った息の長い取り組みこそ必要だろう。


=2018/01/31付 西日本新聞朝刊=

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ