博多―上海の就航目指す アジア初のクルーズ定期便へ

西日本新聞

 福岡市は31日、博多港と中国最大の上海港(呉淞口=ウーソンコウ=国際クルーズ港)を結ぶクルーズ船の定期航路開設を盛り込んだ覚書を、上海港側の運営会社と締結した。市によると、クルーズ船の定期便が就航すればアジア初。東アジアからの観光客取り込みが期待できるほか、日本の市民にとってもクルーズ船が利用しやすくなり、航空便と船を組み合わせた「フライ&クルーズ」など多彩な観光プランが可能になりそうだ。

 市港湾空港局によると、定期便はクルーズ先進地域のカリブ海や地中海で運航しているが、日本を訪れるクルーズ船は需要にばらつきがあるため、不定期周遊に限られてきたという。覚書には「定期船クルーズ航路の実現などを通じて、クルーズ客の満足度向上やクルーズ船社の利便性向上に相互に協力」と記載。上海港の運営会社は大手船会社に強い影響力を持っており、市とともに働き掛けることで、定期航路就航の可能性が高まる。

 観光立国を目指す政府は2015年から船舶観光上陸許可制度の運用を開始。指定したクルーズ船で来日する観光客について、査証(ビザ)の取得や顔写真の撮影を不要とした。この制度では寄港後、外国人観光客は再び同じ船に乗り、出発港に戻らねばならない。不定期周遊のクルーズの多くは制度の利用を前提に旅程を組んでおり、博多港でも観光客の滞在は大半が半日程度で、他地域に消費が広がらないことなどが課題となっている。

 定期航路が実現すれば、クルーズ船で来日した外国人観光客の長期滞在が可能になり、買い物だけでなく文化体験型の滞在が容易になる。同時に、博多港から上海に向かうクルーズ船の就航で、日本からの旅行の選択肢も増える。博多-上海間は約千キロ。博多港からは夕方に出発し、片道2泊3日程度の旅が想定される。使用する船体の規模や寄港地、料金、就航時期などは、船社と今後協議する。出入国の手続き方法などについても市は法務省に助言を仰ぐという。

 上海港はクルーズ船の寄港数509回(16年)で、アジア有数の拠点港として知られる。博多港の17年のクルーズ船寄港数は3年続けて国内トップとなる326回で、上海港発着が約6割を占めているという。

 上海港側が昨年7月、福岡市に定期航路の開設などを提案。覚書を踏まえた取り組みとして多彩な観光プランに向けた船社への共同提案▽両港の岸壁予約の状況を船社がリアルタイムに把握できるシステムの構築-も確認した。両港は昨年9月、コンテナ貨物をウェブで管理するITシステムを導入。人の流れと物流の両面で連携を深めている。

 この日の締結式で上海港の運営会社の顧絵権社長は「定期航路の開設で両港の協力は新たな段階に入る。アジアのクルーズ市場の発展に尽力したい」と話した。

=2018/01/31付 西日本新聞夕刊=

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