九大起業部、会社第1号 AIで病理画像診断 社長の医学部生「世界展開目指す」

西日本新聞

ベンチャー企業を立ち上げた九州大の飯塚統さん(右)と久保千春学長 拡大

ベンチャー企業を立ち上げた九州大の飯塚統さん(右)と久保千春学長

 九州大の学生らが、病理画像診断ソフトの開発を手掛けるベンチャー企業「Medmain(メドメイン)」を立ち上げた。学生起業家を育成しようと同大が昨年6月に発足させた部活「起業部」から生まれた会社第1号。社長に就いた同大医学部4年、飯塚統(おさむ)さん(26)は「2年以内に製品化し、九大発のベンチャーとして世界展開を目指したい」と意気込んでいる。

 メドメインは飯塚さんら九大の医学部や工学部の学生4人で1月11日に設立。外部のグラフィックデザイナー2人も加わった。事業の主軸はAI(人工知能)に大量の病理画像を学ばせ、そのデータに基づいて診断する病理画像診断ソフトの開発。ソフトは病理医の仕事を担い、患者の細胞から病気の有無を診断する。

 現在、病理医不足は全国的な課題。市中の医療機関が大病院に診断を依頼すると、結果が出るまでに数週間かかる。ソフトを使えば小さな医療機関でも5分程度で結果が分かるという。発案した飯塚さんたちは、昨年11月に米シリコンバレーであった世界的なビジネスプランのコンテストで優勝。ただ、米国や韓国でも同様のソフト開発の動きがあり、競争は激しい。

 メドメインのソフトは九大医学部、九大病院と共同開発しており大量の画像データを活用できるのが強み。九大が今月から運用を始めた国内トップ級の演算能力を持つスーパーコンピューターシステム「ITO(イト)」も利用して開発を急ぎ、年内にも九大病院で試験運用を始める。飯塚さんは「迅速な病理診断は緊急手術の必要性の有無をすぐに判断でき、患者の命を救うことにもつながる。5年以内の上場を目指したい」と話す。

 昨年6月にできた起業部は1年間で平均5社、10年で50社の学生ベンチャー創出を目指す。心身医学が専門で元九大病院長の久保千春学長は「遠隔診療で画像は使われているが(まだ技術が確立されていない)病理の画像診断は将来性がある。競争も激しいので開発スピードを上げて頑張ってほしい」とエールを送っている。


=2018/02/01付 西日本新聞夕刊=

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