タイ副首相8日から福岡訪問 経済特区に投資呼び掛け 総領事館開設を正式発表へ

西日本新聞

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ソムキット副首相の福岡訪問を報じるデーリーニュースの記事

 タイのソムキット副首相(経済担当)が8日から11日までの日程で福岡県を訪問する。経済特区への投資を呼び掛けるほか、県が誘致を進めていたタイ総領事館の福岡市開設についても正式に発表する見通しだ。総領事館の誘致では福岡が長年培ってきた人脈が力を発揮した。九州とタイの経済、文化両面での交流はさらに活発化しそうだ。 (バンコク浜田耕治)

 「ソムキット、福岡で中小企業の誘致活動」-。5日付の地元紙デーリーニュースは、こんな見出しの記事を掲載した。着物姿のソムキット氏がSME(中小企業)の入ったおけを日本からロープで引き寄せるイラストが描かれている。

 記事はソムキット氏の福岡県訪問に触れ、「福岡にはハイテク企業や技術力のある中小企業が多い。タイの企業が手を組めばレベルアップが見込める」と伝えた。今回の訪問はタイ政府が力を入れる経済特区の「東部経済回廊」について、副首相が自ら投資を呼び掛けるのが主な狙いだ。

 背景には、先進国になれずに経済成長が鈍化する「中進国のわな」と呼ばれる現象への危機感がある。「アジアの工場」として発展したタイだが、近年は周辺の途上国よりも人件費が高くなっている一方で、先進国ほどの技術開発力が育成できていないのが課題だ。

 タイ政府は「成長を停滞させないためには産業の高度化が不可欠」としてロボットや医療といった高付加価値産業の育成を目指しており、ロボット開発の安川電機(北九州市)などが本社を置く福岡県に“白羽の矢”を立てた格好だ。

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 訪問のもう一つの目的は、日本国内では大阪市に続いて2カ所目となるタイ総領事館の福岡市開設の正式発表だ。

 タイに進出した日系企業は5千社を超え、九州・山口の企業も59社に上る。福岡市に総領事館ができれば、ビザ取得のために東京や大阪に出向く必要はなく、利便性が向上する。タイにとっても、災害時にタイ人保護に迅速に対応できるほか、投資拡大を促す拠点が九州にできることになる。

 福岡県がタイ総領事館の誘致に乗り出したのは2016年から。当初は閣僚との会談を求めても約束すら取れない事態が続いたが、手詰まり状態を打開したのは、県議会が培ってきた独自の人脈だった。

 県議会タイ友好議員連盟の吉村敏男会長は「『福岡の頼みなら』と友好提携を結ぶバンコク都議会の有力議員らが閣僚との橋渡しをしてくれた」と明かす。

 09年4月に福岡市に総領事館を開設したベトナムは福岡県からの輸出額が16年に4倍、県からベトナムへの進出企業は2倍に増えた。東南アジアの中心に位置するタイとの間でも人、モノ、カネの流れが拡大するのは確実とみられている。

=2018/02/07付 西日本新聞朝刊=

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