甲賀流忍者発祥の地、滋賀県甲賀市では、今月は「忍者月間」…

 甲賀流忍者発祥の地、滋賀県甲賀市では、今月は「忍者月間」。2月22日の「忍者の日」にちなんで関連した催しなどが開かれる

▼忍者といえば、忍法。火遁(かとん)の術や水遁(すいとん)の術、変わり身の術、木の葉隠れの術…。奇想天外な忍法が飛び交う小説や漫画にわくわくしたものだ

▼いくら本家とはいえ、「投票隠しの術」はもっての外である。昨年の衆院選。同市選挙管理委員会が開票してみると、投票総数に対し開票数が数百票少なかった。選管は開票遅れを避けようと、不足分を白票として無効票に水増しして集計した。もちろん違法の詐術だ

▼その後、未開封の投票箱が見つかった。困った選管幹部が票を自宅に持ち帰って「火遁の術」。不正がばれぬように焼いてしまったという。選挙は民主主義の根幹。その公正さのお目付け役である選管が自ら掟(おきて)破りとは。開いた口がふさがらぬ

▼怪しげな忍法は、地方ばかりではない。国有地を破格の安値で売り、担当者は逃げ回る「土遁(どとん)の術」。証拠となる記録はすぐに破棄する「文書隠しの術」。「適正」と言い張って別の役職に栄転する「変わり身の術」。記者会見をしない「無言の術」…。霞が関にも、役人というより「役忍」が

▼山田風太郎さんの小説「甲賀忍法帖」に、敵の忍法をすべて破る「破幻の瞳」を持つ女忍者が登場する。お役所忍法にたぶらかされぬよう、国民もしっかりと目を凝らしておかねば。

=2018/02/10付 西日本新聞朝刊=

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