【きょうのテーマ】新聞印刷の現場訪ねる 西日本新聞製作センター(福岡市博多区)
●「ダッ、ダッ、ダッ…」 1時間に16万部印刷
新聞は日々、どんなふうに印刷されているか知っていますか? こども記者5人が西日本新聞製作センター(福岡市博多区井相田)に行って、印刷の様子と働く人を取材しました。
■4色でカラー印刷
この印刷工場は西日本新聞の本社(福岡市中央区天神)から約7キロ離れている。中に入ると、インキのにおいがした。
案内してくれたのは、新聞社の製作センター運営本部長の三嶋文昭さん(56)とグループ会社、西日本新聞印刷の新聞製作本部長の新敏郎さん(58)。三嶋さんは「黒、青、赤、黄の4色を使ってカラー印刷をしています」と説明した。
もっとたくさんの色のインキを使っていると思っていたので驚いた。たった4色だが、さまざまな割合で重ねれば、いろんな色を作れるそうだ。
本社でレイアウトを終えた紙面のデータは光ファイバーで届き、アルミの印刷版に加工される。それを「輪転機」という印刷機に取り付けると、準備完了だ。
■目で追えない速さ
「ダッ、ダッ、ダッ…」。午後1時ごろ、大きな音を立てて夕刊の印刷が始まった。刷り上がった新聞が機械で1部ずつ、天井くらいの高さを次々に運ばれていく。1時間に16万部を印刷できると聞いたが、実際に見ると、ものすごく速くて目が追いつかなかった。
輪転機の近くには、紙面と実際の写真を見比べて色を調整したり、ずれがないかをチェックしたりする人もいた。新聞は最大40ページ、このうちカラー印刷が16ページまで可能だという。
できたての新聞は、読者の元へ配達する販売店ごとに分けられる。必要な部数や行き先を書いたラベルを付けて梱包し、トレー式のコンベヤーでトラックへ運ぶ。ほとんどが機械化され、昔に比べて働く人の数はかなり減っているそうだ。
新聞を印刷する用紙は、巨大なトイレットペーパーのようだった。直径約1・1メートル、重さ約1トン。紙の長さは15キロメートルにもなる。冬は空気が乾燥するので、紙が破れないように加湿するための装置があり、霧状の水分がふき出されていた。
工場を出発したトラックが、九州のどこを走っているのかがパソコンで分かる管理システムもあった。
三嶋さんと新さんは「九州のたくさんの読者に私たちが作った新聞が届けられると思うと、うれしいですね」と話していた。
●安全第一にチームプレー 製作責任者に聞く
こども記者たちは、西日本新聞製作センターの責任者である三嶋文昭さん(56)と新敏郎さん(58)にインタビューした。
新聞を印刷する仕事で一番大変なことは何ですか、と聞くと、三嶋さんは「毎日、記事も写真も違いますが、決められた時間に決められたことをして、ミスのない紙面を読者に届けなければならないことです」と答えた。でも、「読者にきちんとした新聞を届けるという使命感が、やりがいでもあります」と話した。
新さんは中学生のころ、西日本新聞を配達していた。「販売店に着き、トラックから下ろされたばかりの新聞が温かかったことを覚えています」と言った。多くの人が頑張って作った新聞の温かさに触れた体験が、新聞印刷の仕事をするきっかけになったそうだ。
2人は「チームプレーで一致団結しないと、いい紙面はできませんから、安全第一を心がけています」と口をそろえ、「みなさんに新聞をしっかり読んでほしいですね」と話していた。
=2018/02/14付 西日本新聞朝刊=