電子・ネット投票 公正さ第一に可能性探れ

西日本新聞

 投票所のタッチパネルで候補者を選ぶのが「電子投票」だ。「インターネット投票」は、パソコンやスマートフォンを使ってどこからでも投票することができる。

 電子投票とネット投票を国政選挙へ導入できるか。総務省は、有識者らによる研究会をつくって検討を始めた。今夏をめどに提言をまとめる予定という。

 検討の契機になったのは昨年の衆院選だ。台風の影響で投票箱が開票所に届かず佐賀県など8県12市村で即日開票ができなかった。

 開票作業の迅速化や投票率向上が期待され、滋賀県甲賀市選管による衆院選での「無効票水増し」のような不正も防止できる。

 情報通信技術(ICT)の活用で有権者の利便性を高めるとともに、何よりも公正性が求められる選挙で電子・ネット投票は可能か。議論の行方を注目したい。

 電子投票は特例法により、2002年から地方選挙に限り認められている。これまで10市町村が実施した。開票時間短縮などの効果はあったがトラブルも続出した。

 03年の岐阜県可児市議選では機械の故障で投票が一時ストップした。最下位当選者と次点が僅差だったため、落選した候補者らが選挙無効を求める訴訟を起こし、最高裁で選挙無効が確定した。

 こうした経緯もあって普及は進んでいない。実施可能な自治体は現在、全国で岡山県新見市など2市町にとどまっている。

 自宅でも可能なネット投票は選挙の在り方を画期的に変えるかもしれない。だが、システムがサイバー攻撃に遭えば、データ改ざんの危険性がある。成り済まし投票など悪質な不正の防止も徹底しなければ実現は困難だろう。

 とはいえ、電子・ネット投票は時代の要請でもある。避けて通れないテーマだ。投票用紙に代わってタブレット端末で候補者名を書くなど柔軟な発想で検討してほしい。離島や海外在住者など投票に制約のある有権者から試験的に導入することを考えてもいい。

 公正な選挙の実現を大前提に、可能性を探ってもらいたい。

=2018/02/18付 西日本新聞朝刊=

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