19年のG20大阪開催 政府決定 財務相会議は福岡市

西日本新聞

 政府は20日、2019年に日本で初めて開催する20カ国・地域(G20)首脳会合を大阪で開催することを決めた。福岡市や愛知県も誘致に名乗りを上げていたが、1995年にアジア太平洋経済協力会議(APEC)を開催した実績や、空港からのアクセス、海外の首脳級が宿泊するホテルが充実していることなどを重視した。6月下旬から7月初旬開催を軸に検討している。福岡市では、G20財務相・中央銀行総裁会議を開く。

 19年は天皇陛下の退位や新天皇の即位、アフリカ開発会議(TICAD)、ラグビーワールドカップ(W杯)などの重要行事が予定されており、政府は実施時期の決定を急ぐ。

 大阪府と大阪市は昨年11月、同市住之江区の人工島・咲洲の国際展示場「インテックス大阪」を会場とする計画案を外務省に提出したと発表。25年国際博覧会(万博)の誘致に弾みをつけたい松井一郎大阪府知事らが、安倍晋三首相や菅義偉官房長官にG20誘致を働き掛けていた。

 G20は日本や米国などの先進7カ国(G7)に加え、中国やロシア、インドなどの新興国が集まる枠組み。G7と比べて開催規模が大きく、ホテルはスイートルームを含めて3万室程度が必要とされ、警備も重要な課題となる。

 福岡市は「国際都市としてアピールできる大きな機会になる」として誘致に乗り出した。主要会場は福岡空港からのアクセスがよく、警備が容易な同市のホテル「ヒルトン福岡シーホーク」を想定していたが、外務省から宿泊施設の不足を指摘されていた。北九州市や宮崎県は関係閣僚会合の誘致を目指している。

 福岡市では、00年の九州・沖縄サミットでも蔵相会合が開催された。

■福岡 宿泊施設ネックに 官民の巻き返し実らず

 大阪で開催されることになった20カ国・地域(G20)首脳会合は、福岡市も「世界に福岡を発信する絶好の機会になる」として誘致に名乗りを上げたが、首脳らが宿泊するホテルなど設備面がネックとなり、実現には至らなかった。

 福岡市が誘致に乗り出したのは昨年11月。アジアのリーダー都市への大きなステップになるとみて、高島宗一郎市長が先頭に立って活動を始めた。高島氏と関係が深い安倍晋三首相も、同市をアベノミクスの象徴と位置付け、地方創生のアピールにもつながると評価していた。

 問題となったのは、ホテルなどの宿泊施設の不足。市は当初、首脳らの宿泊施設としてクルーズ船も活用する計画だったが、政府は警備面で問題があるとして難色を示した。福岡開催を推した麻生太郎副総理は、「ホテルは何とかする」と菅義偉官房長官を説得。市は同12月末、市内のホテルから、部屋を改修してスイートルームを増設する協力を取り付けた。

 こうした対応が奏功し、外務省が1月下旬に作成した評価書面では「大阪と福岡が同列になった」(政府関係者)という。大阪との綱引きが続く中、高島氏は今月15日、九州経済連合会の麻生泰会長とともに外務省を訪れて福岡開催を要望するなど、誘致活動を活発化させていた。

 ぎりぎりまで悩んだ首相だったが、最終的には福岡市では十分な宿泊施設が確保できないと判断。空港の容量や警備面でも大阪の方が有利に働いた。首相は、福岡市で財務相・中央銀行総裁会議を開催することで落としどころとした。

 大阪を選んだ理由については「憲法改正などで今後、(大阪を拠点とする)日本維新の会の協力を得るための布石ではないか」との見方もある。

■「信じられない」落胆 関係者

 20カ国・地域(G20)首脳会合の福岡市開催へ向け、安倍晋三首相、麻生太郎副総理と太いパイプを持つ高島宗一郎市長を先頭に誘致に取り組んできた市関係者は、「残念だ」と落胆の表情を浮かべた。

 昨年暮れから本格化した首脳会合の誘致レースは、一時は福岡市が有力との見方も出ていた。市関係者からは「千載一遇のチャンスだったのに。信じられない…」との言葉も漏れた。ただ「世界最高峰の国際会議誘致に挑戦し、大阪や東京と最後まで競り合ったことは大きな意味があった」と前向きにとらえた。

 首脳会合誘致でネックになったのは、高級ホテルの数とされる。別の市関係者は「G20の財務相・中央銀行総裁会議をてこに、(ホテルの誘致や整備など)街づくりを一段と進めていく必要がある」と話した。

 高島市長は20日深夜、「日本初開催のG20サミットが大成功し、(大阪の)万博の誘致成功につながることを願っています」とのコメントを発表。さらに、財務相・中央銀行総裁会議の開催決定は、安倍首相からこの日、直接連絡を受けたとし、「(2000年の)九州・沖縄サミット福岡蔵相会合を上回る20カ国の財務相が一堂にそろう。福岡市の力を結集し、成功に向けて全力を尽くします」と決意を示した。

=2018/02/21付 西日本新聞朝刊=

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