米軍機トラブル 再発防止「求める」だけか

 米軍三沢基地(青森県)所属のF16戦闘機が20日午前、離陸直後にエンジン火災を起こし、基地近くの小川原湖に燃料タンク2個を投棄した。同機はすぐに三沢基地に引き返して着陸した。

 燃料タンクはシジミ漁をしていた船から約400メートルの湖面に落下した。タンクは空の状態でも重さ200キロ以上ある。現場にいた地元の漁師は「すごい水しぶきで驚いた。当たっていたらと思うと冗談じゃない」と語った。

 米空軍は「人けのないことを確認してタンクを投下した」と説明した。エンジントラブルの際、火災防止や機体を軽くするため燃料タンクを投棄するのは、米軍の手順に沿った措置なのだろう。

 しかし、飛行中の戦闘機の上から「人けがない」ことを完全に確認できたのか。結果的にけが人が出なかったのは幸いだが、人命に関わる事故になりかねない重大トラブルだったといえる。

 このところ、米軍機のトラブルが日本国内で頻発していることに強い不安を覚える。昨年12月には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のヘリコプターから、隣接する小学校の運動場に窓枠が落下した。沖縄では1月にも米軍ヘリの不時着が3件起きている。

 朝鮮半島情勢や中国の海洋進出に対応するため、米軍の活動が活発化し、それが現場の兵士や整備体制に過重な負担を強いているのではないか。米軍は事故を構造的な問題の一端と捉え、徹底的な原因究明にあたるべきだ。

 安倍晋三首相は「米側に再発防止を強く求める」と述べた。しかし日本側が捜査権や飛行停止命令などの強制手段を持たない現状では米軍に「お願い」するしかないのが実態だ。日本政府に住民安全確保の当事者能力がない安保体制の問題点があらわになっている。

 今回は本土での事故だったが、米軍基地が集中する沖縄では、それだけ米軍絡みの事故が頻繁に起きているという事実も忘れてはならない。事故を機に本土の住民も、基地にまつわる沖縄県民の不安と悩みを共有したい。

=2018/02/22付 西日本新聞朝刊=

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