さりげなく、思いやりを表現できる人に

 「キャー」。地下鉄を降りてすぐ、けたたましい泣き声に足がすくんだ。振り向くとホームで幼い男の子が床にひっくり返って駄々をこねている。「泣かないの、お願い!」。改札へ急ぐ乗客の流れを邪魔していることにいらだって、母親の声にも怒りがにじむ。こんな時、何か一声掛けられればと思うが、なかなか一歩が出ない。結局、妙な笑みを浮かべながら通り過ぎるしかなかった。

 数日後、今度はレストランで男児の甲高い声を耳にした。かんしゃくを起こしてテーブルをたたいている。店員がけげんな表情でチラチラ。母親は周囲の空気を察してオロオロ。どうしたものかと迷っていると、近くにいた初老の男性がすっと席を立ち、「大丈夫、大丈夫。元気な証拠だから」と男児の頭をなでて店を出ていった。母親の表情が少し和らぐように見えた。

 あんなふうにさりげなく、思いやりを表現できる人に。次はきっと…。 (吉良治)

=2018/02/23付 西日本新聞朝刊=

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だざいふ子ども絵画展

  • 前期2021年11月11日(木)~23日(火・祝)、後期27日(土)~12月10日(金)
  • 太宰府市文化ふれあい館 エントランスホール
me music マリンワールド海の中道 外洋大水槽前から

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