中国主席任期撤廃へ 習氏、終身支配に道 3月憲法改正

西日本新聞

 【北京・川原田健雄】中国共産党中央委員会は、国家主席の任期を連続2期までと定めた規定を削除する憲法改正案を全国人民代表大会(全人代=国会)に提出した。国営通信の新華社が25日伝えた。3月5日に開幕する全人代で可決される見通し。任期の上限撤廃により2013年に就任した習近平国家主席(64)は2期目が終わる23年以降も主席にとどまり、長期政権を実現できるようになる。

 国家主席の任期は1期5年で、中国の憲法第79条第3項は「2期を超えて連続して就任することはできない」と規定し、3選を禁じている。党中央委はこの文面を削除する憲法改正案をまとめた。可決されれば、これまで2期10年だった国家主席の任期上限は撤廃され、規定上は習氏が終身で務めることも可能になる。

 習氏は昨年10月の党大会で、自らの名前を冠した指導理念「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を党規約に明記し、毛沢東や故〓小平氏らと並ぶ権威の確立に成功。その後発足した2期目の最高指導部には、自身の後継となる最高指導者候補は入れず、長期政権に意欲をのぞかせていた。

 改正案には習氏の指導理念と、胡錦濤前国家主席が提唱した「科学的発展観」も盛り込まれた。新設される反腐敗の独立機関「国家監察委員会」の規定も挿入。監察委のトップとなる主任の任期は連続2期までとした。また、国家副主席に関する連続3選禁止の同様の規定も削除する。

 習氏は昨年の党大会で党トップの総書記に再任されている。全人代では国家主席に再任され、本格的な2期目の習指導部の政権運営が始まる。

    ◇      ◇

習氏独裁懸念強まる 中国主席任期撤廃「歯止め」勢力なく

 【解説】中国の憲法に定められた国家主席の3選禁止規定の削除は、習近平国家主席(共産党総書記)の長期支配に道を開く。他界するまで最高指導者にとどまった毛沢東のように終身支配も可能になる。長期化する「1強体制」には個人独裁の懸念も強まる。

 中国には、毛が主導した大規模政治運動「文化大革命」(1966~76年)で、毛を個人崇拝する若者らが政治家や知識人を攻撃し、多くの犠牲者を出した苦い経験がある。

 この反省から、複数人で構成する最高指導部による集団指導体制を徹底するとともに、特定の指導者による独裁を避けるため国家主席の3選を憲法で禁止。党トップの総書記も、同じ党職に3期連続で就けないとの暫定規則を準用して事実上3選を禁じてきた。

 だが、昨秋の最高指導部人事で習氏が後継者の指名を見送ったため、習氏が2期目を終えた後も、経験の浅い新指導者の後見役として影響力を保持することが確定。香港紙などからは、国家主席の3選禁止規定を削除し、名実ともに長期支配を可能にするのではないかとの見方が出ていた。

 権力集中を成し遂げた習氏に歯止めをかけることができる勢力は、長老を含めて党内には見当たらない。現実味を帯びる習氏の長期支配は、「独裁者の暴走」を招きかねない危うさもはらんでいる。 (北京・川原田健雄)

※〓は「登」に「おおざと」

=2018/02/26付 西日本新聞朝刊=

PR

国際 アクセスランキング

PR

注目のテーマ