熊本駅0番ホーム消える 鉄道発展期の象徴 A~Cの3本 3月高架化、惜しむ声

西日本新聞

豊肥線の列車が発着するJR熊本駅0番ホーム。0番Aの後方左側に0番Cがある 拡大

豊肥線の列車が発着するJR熊本駅0番ホーム。0番Aの後方左側に0番Cがある

 JR熊本駅(熊本市)の0番ホームが3月17日の高架化工事完成に伴い、姿を消す。鉄道駅は駅長室に近い側からホームに番号を割り振るのが慣例だが、0番は1番ホームの逆側に増設する場合に名付けるとされ、鉄道輸送が拡大した時代を象徴する存在だ。熊本駅は0番ホームがAからCまで展開しており、三つあるのは全国的に珍しく、鉄道ファンから別れを惜しむ声が聞かれる。

 熊本駅は駅舎から西側に並ぶ1~6番のホームに鹿児島線などの列車が発着。東寄りの0番は主に豊肥線の列車が使ってきた。2015年に先行して高架化した4~6番に続き、1~3番が完成すると、0番は役目を終え、跡地は商業ビルとなる予定。

 JR九州熊本支社によると、1891年に開業した熊本駅で、0番が誕生した時期は「半世紀以上前と思われるが記録が残っていない」。近年の経緯は熊本市の鉄道愛好家田瀬徳明さん(47)が覚えていた。

 田瀬さんが高校生だった約30年前、0番が二つに増設された。顔見知りの熊本駅長から名前に意見を求められた田瀬さんが「金沢駅に0番A、0番Bがあった」と伝えると、採用された。09年に0番Cもできた。

 全国の0番ホームを研究する東京の眼科医峰村健司さん(50)によると、国内にはかつて延べ100カ所ほど0番があったが、現在は40カ所ほどに減少。九州では原田駅(福岡県筑紫野市)や長崎駅(長崎市)などに残る。

 峰村さんは、ローカル線廃止や駅舎建て替えで0番が消えていくのを惜しみ、16年まで約10年がかりで国内44カ所と、デンマークやオーストラリアなど6カ国の19カ所を訪ねた。「0という数字の不思議さにひかれて調べると、それぞれの駅の歴史や特徴が分かって面白い」と語る。

 峰村さんは国内のほとんどの駅が「ゼロ番」と呼ぶ中、熊本駅が「れい番」と呼ぶことにも驚いた。

 熊本駅の0番は熊本-人吉を走る「SL人吉」や、熊本、大分両県を結ぶ「九州横断特急」が発着したこともあったが、高架化と熊本地震による豊肥線寸断により、今は普通列車の発着と夜間の列車待機のみに使われている。

 これまで3回熊本駅に足を運んだ峰村さん。「0番がA、B、Cまであるのは熊本だけで、呼び方も特徴があった。なくなるのは残念ですが、新しい駅の発展に期待します」とエールを送った。

=2018/02/26付 西日本新聞夕刊=