「売買」のない暮らし

西日本新聞

 動画投稿サイト「ユーチューブ」で聞くと、ビルマ語のような響きにドイツ語のような破裂音がまじった会話だった。最近、スウェーデンのルンド大チームがタイ国境に近いマレーシア北部で約280人しか使っていない言語を発見した。フランス紙フィガロによると、チームはその地区で話されるジャハイ語を研究していたが、別の言葉を話す人たちがいることに気付いた。アスリアン語と呼ばれる遠く離れた地域で使われている言語に近いことが分かり「ジェデク語」と名付けられた。

 ジェデク語を話す集団は狩猟採集で生活。面白いのは「売る」「買う」「盗む」を意味する言葉がなく、代わりに「分け合う」「交換する」にあたる言葉が数多くあるそうだ。職業という考え方はなく、暮らしの上での男女区別も少ない。暴力はほとんどなく、親は子どもに競わないように教えるという。

 つまり「お金」のない社会。だから売買はもちろん競争もない。280人とはいえ仲良く長く続いてきた。発展や成長とは無縁だが言語も人たちも消えてほしくない。 (井手)

=2018/02/27付 西日本新聞夕刊=

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