「移住特区」人模様 島原の乱後荒廃した島原半島へ 異例の国策…ルーツ知って 南島原市口之津図書館で初の特別展

 島原の乱(1637~38)で荒廃した島原半島への大規模移住を題材にした初の特別展が、南島原市口之津町の口之津図書館で開かれている。当時、半島は年貢が軽減される“移住特区”となり、優遇策目当てに無断で移り住む人が増えるなど混乱も起きた。初公開3点を含む史料26点が、日本史上まれな移住政策にまつわる人模様を今に伝えている。3月4日まで。

 同市南有馬町の国史跡「原城跡」で終息した島原の乱では島原、天草の領民計3万7千人が犠牲となり、島原半島南部はほぼ無人化。幕府は1642年、九州諸藩や幕領などに移住者を出すよう命令を出した。

 特別展では熊本、豊後高松、萩の各藩に宛てた移住令の書簡を展示。移住者の総数は不明だが、別史料では熊本藩から島原、天草へ男女計356人や牛馬11頭が移った記録もある。

 一方で、熊本藩の史料は、労働力を奪う移住策が熊本の農民にとって「迷惑」だったと記し、萩藩は「牛疫(ぎゅうえき)」の発生で農民が疲弊して多くの移住者を出せない事情があったことを伝える。各藩が異例の移住令に困惑した様子もうかがえる。

 島原藩が移住促進のため設けた優遇措置の影響で、近隣の藩からは無許可の移住者「走(はしり)百姓」が相次いだ。特別展では、1600人の走百姓が出た大村藩からの領民返還の訴えに対し、幕府が島原寄りの決定を下した書面なども複数紹介。両藩がその後、走百姓の取り扱いで取り決めを交わしたり、島原で借金を作った後に帰還した領民の生活支援に大村藩が苦慮したりする様子が分かる書状もある。

 特別展は同市と西南学院大学博物館が主催。市教育委員会の担当者は「南島原市のルーツといえる移住の歴史を知ってほしい」と話している。入場無料。

=2018/02/28付 西日本新聞朝刊=

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