ひな人形展最後の彩り 多久の人形師倉富さん24年目で区切り 手びねり、土鈴など250点並ぶ

 多久市多久町の人形師倉富博美さん(67)のひな人形展が27日、工房「人形の家聖心房」で始まった。ひな人形展は24年目の今回で最後。手びねり人形や土鈴人形など約250点が会場を彩っている。3月4日まで。

 倉富さんは高校卒業後、博多人形師の下で5年間修業し、25歳で生家に工房を構えた。独立5年後、不景気のあおりで絵付けの下請け仕事を失った。収入が途絶え、転職の覚悟さえしたどん底の日々。そんな中で、孔子を祭った近くの多久聖廟(せいびょう)や地元の民話伝説に材を求めた人形作りに活路を見いだした。

 ひな人形展は1995年から始めた。当時、各地のひな祭りは今ほど盛んではなく、手びねりの土びなは物珍しさもあって人気を呼んだ。

 土びなは、板状に延ばした粘土を人形の大きさに合わせて切断し、折り曲げて形をこしらえ、素焼きをして絵付けを施す。「板状にしたのは衣装の絵付けがしやすいから」。彩色の前に水に溶かした土を表面に塗り付けて衣装の質感を表すなど、細部まで神経の行き届いた倉富さんの人形はよく売れた。

 だが生活様式の変化もあり、人形を飾る家庭は減った。体調も優れず、区切りを付けることにしたという。秋の地蔵人形展は続ける。

 今後、郷土芸能ヤーホーハイ(弥奉拝)にちなんだ人形作りに挑む。「原点に戻って創作に励む」。倉富さんは笑顔で語った。

=2018/02/28付 西日本新聞朝刊=

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