五輪マスコット作者、下積み時代は路上販売 苦労かけた妻に感謝「回らないすし、食べさせたい」

西日本新聞

谷口亮さんがデザインし、福岡県警博多署などが管内の児童に配った防犯用の下敷き(裏) 拡大

谷口亮さんがデザインし、福岡県警博多署などが管内の児童に配った防犯用の下敷き(裏)

 2020年東京五輪・パラリンピックの大会マスコットをデザインした福岡市城南区の谷口亮さん(43)は中村学園三陽高(同市)を卒業後、米国カリフォルニア州の大学で芸術を学んだ。帰国して故郷で活動を始め、下積み時代は路上でポストカードなどを販売してきたという。収入が不安定で苦労をかけた妻への感謝を口にし、「回らないすしを食べさせてあげたい」とはにかんだ。

 谷口さんはイラストレーターの父、富(ゆたか)さん(71)の影響で「物心ついたときから絵を描いていた」。米国から戻り、2頭身のオリジナルキャラクターの制作を始めたが、そのきっかけも父の「面白いな」の言葉だったという。

 福岡市・天神の渡辺通りで、1枚150円でキャラクターを描いたポストカードを販売。「ほとんど売れなかった」という苦しい時期を越え、徐々に子ども向けの教材や、ゲームのキャラクターのデザインを依頼されるようになった。

 今年2月に中央区今泉のアート店「asi-para(アジパラ)」で初めての個展を開いたばかり。18年前、「店にポストカードを置いてほしい」と谷口さんが頼んだことが縁。店の経営が苦しい時は、マスコットをデザインし恩返ししたことも。このマスコットは今も店の看板で、同店の川野洋子さん(56)は「亮君が、自分をしっかり持ってこつこつ努力する姿を見て、私たちも元気や勇気をもらっている」と話す。

 15年には福岡県警博多署などの依頼で、不審者から身を守るための標語「いかのおすし」にちなんだキャラクターも手掛けた。このとき作成した下敷きは、博多区の小学校に入学する児童に毎年配布されている。

 娘が通う小学校の地域行事にも積極的に参加する。「おやじの会」の有田一崇会長(43)は「子どもたちのために熱心に活動してくれる人。早くみんなでお祝いをしたい」と喜んだ。

=2018/03/01付 西日本新聞朝刊=

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