「1票の格差」 「合憲」判断に甘んじるな

西日本新聞

 「1票の格差」が最大1・98倍だった昨年10月の衆院選を巡る訴訟の高裁判決が、広島高裁で係争中の2件を残してほぼ出そろった。14件のうち13件は「合憲」、1件が「違憲状態」と判断した。

 だからといって、司法から「現状のままでいい」というお墨付きを得たと、国会が誤解してもらっては困る。東京13区の1票の価値が鳥取1区のほぼ半分しかない事態は法の下の平等に反する。

 無論、人口だけで割り振れば人口減少が続く地方の議席は減るばかりだ。妙案はないか。参院も含めて選挙制度の抜本改革が待ったなしであることに変わりはない。

 訴訟は二つの弁護士グループが1票の格差は憲法違反であるとして選挙無効を求めて起こした。

 最高裁はこれまで、格差が最大2・30倍だった2009年、2・43倍の12年、2・13倍の14年について3回連続で違憲状態とした。違憲状態かどうかを判断するラインに2倍を据えたとみられる。

 これを受けて国会は、昨年7月施行の改正公選法で小選挙区定数を「0増6減」するとともに、97小選挙区の境界線を見直す是正を図った。この結果を「格差は2倍未満に縮小した」(福岡高裁那覇支部)と合憲判決は評価した。

 2倍の線引きをはさんで2・13倍は違憲状態だが、1・98倍なら合憲‐という論理は、どこまで説得力を持つだろうか。

 今のところ唯一の違憲状態判決の名古屋高裁は「最高裁判決は議員1人当たりの有権者数をできる限り平等にすることが求められるとしており、2倍未満なら容認との趣旨ではない」と指摘した。合憲とした仙台高裁秋田支部も一層の是正努力を国会に求めている。

 人口の大都市集中は現在進行形で、格差が再び2倍を超えるのは時間の問題だ。国会は格差拡大と小手先是正の「いたちごっこ」をいつまで続けるつもりなのか。

 広島高裁の2件は今月中に判決が出る予定で、最高裁は年内に統一判断を示す見通しだ。司法の判断を待つだけでなく、政治は自ら迅速に抜本改革へ動くべきだ。

=2018/03/01付 西日本新聞朝刊=

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