「怖くて結婚できない」DV加害者に情報、制度の“盲点” 子の戸籍謄本の閲覧可能 SNS普及で高まる危険性 (2ページ目)

西日本新聞

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 DVや虐待被害者への支援措置として、行政は住民基本台帳法などに基づき、現住所が分かる住民票などの閲覧や交付に制限をかけている。もっとも、現住所が記載されない戸籍謄本は対象外。戸籍法では、直系の血のつながりがある者は理由なく請求できるため、加害者であってもわが子の戸籍謄本を簡単に取得できる。母親と子どもが同一戸籍にある場合、避難後の婚姻の情報なども知ることができるというわけだ。

 「住所が分かるわけではないので身の危険はないはず」と法務省の担当者。確かに、どこにでも定めることができる本籍地から居場所を特定するのは難しいが、配偶者の名前や、その間に生まれた子どもの情報があればどうだろうか。

 加害者になったつもりで女性のパートナーの名前をインターネットで検索してみた。すると、顔写真や職歴、出身地、現住所が類推される情報を簡単に得ることができた。

 こうした懸念は、2008年の戸籍法改正を巡る議論でも指摘された。DV被害を想定し、戸籍謄本を理由なく請求できる対象を「本人」に限るべきだという意見もあったが、親や子、配偶者などは「理由なく取れるというのが社会通念上、日本社会のあり方として適当」という声が多く、採用されなかった。

 それから10年。ネットや会員制交流サイト(SNS)の急速な普及で、戸籍に記載された情報から居場所が特定される危険性は高まっているといえる。

 戸籍法には、血のつながりがある者からの請求でも「不当な目的が明らか」である場合、行政側は拒否できるという規定もある。ただ、ある役所の担当者は「『子どもの戸籍から元妻の居場所を探りたい』とでも言われなければ、拒否は難しい」と打ち明ける。

 立命館大の二宮周平教授(家族法)は「DVの支援措置がかかっているケースで加害者が子どもの戸籍謄本を請求した場合、相続など正当な理由が証明できないときは窓口で拒むように、法務省が通達を出すべきだ」と指摘する。

=2018/03/04付 西日本新聞朝刊=

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