福島原発処理水 先送りせず真剣な議論を

 ■東日本大震災7年■

 林立するタンクの処理水をどうするか。東京電力福島第1原発事故では、廃炉とともに処理水対策が大きな課題になっている。

 原子炉建屋に流れ込んだ地下水や雨水は「多核種除去設備(ALPS)」で浄化し、放射性物質62種を取り除いている。だが、トリチウムだけは除去できず、処理水を敷地内のタンクに貯蔵している。その数は約850基に達し、敷地の余裕もなくなりつつある。

 どのように解決を図るのか。東電や国はもとより、国民的課題として真剣に考える必要がある。

 福島第1原発には、山側から海に流れ出ている地下水のうち、1日当たり150トンが原子炉建屋に流れ込み、新たな汚染水となっている。東電は、ALPSによる汚染水浄化など汚染源を「取り除く」▽地下水くみ上げや凍土方式の遮水壁などによって汚染源に水を「近づけない」▽海側遮水壁やタンク貯蔵など汚染水を「漏らさない」-の3原則に沿って汚染水の減量を進め、流出も防いでいる。

 このうち原子炉建屋周囲の地下に氷の壁をつくる凍土遮水壁は汚染水発生量を減少させたとして政府の汚染水処理対策委員会が効果を認めた。問題は汚染水を浄化しタンクにためる構図は不変で、量も約85万トンに達していることだ。

 トリチウム水処理を巡っては、経済産業省の作業部会が地層注入、海洋放出などの選択肢を示し、有識者委員会が社会的影響を含めて処理方法を検討中だ。

 トリチウムについて国民の理解をいかに深めるか、風評被害発生をどう阻止するかなどを議論している。議論を委員会内にとどめず、地元関係者や流通・観光業者、さらに一般の消費者など幅広い人々に広げていく工夫も必要だ。

 トリチウムは、通常の原発では国の基準以下に薄めて海に放出している。原子力規制委員会も東電に海洋放出を求めているが、風評被害に苦しんできた漁業者たちの不安は大きい。難題だが先送りせず丁寧な合意形成が求められる。

=2018/03/09付 西日本新聞朝刊=

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