原発の再稼働 生きているか福島の教訓

 ■東日本大震災7年■

 東京電力福島第1原発事故の教訓は、その後の原子力政策に生かされているのか。事故から7年が経過しても疑念は増すばかりだ。

 福島では今なお約5万人が県内外に避難したままだ。復興も道半ばで、廃炉作業や汚染水など事故処理の課題は山積している。

 にもかかわらず原発再稼働の動きは全国で加速する。九州でも全国に先駆けて再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機に続き、玄海(佐賀県玄海町)3号機が今月下旬、4号機は5月に再稼働する予定だ。

 政府は原子力規制委員会の新規制基準を「世界最高水準」としており、それに適合して地元合意を得た原発は再稼働を進めている。

 ただ、規制委は審査に適合しても「絶対的な安全性が確保できるわけではない。原子力の安全に終わりはない」と説明する。

 避難計画も政府ではなく、事実上自治体任せになっている。玄海は緊急防護措置区域の30キロ圏内に多くの離島を抱え、事故時の避難に懸念を抱く住民も多い。

 九電は玄海周辺の地元住民らに配ったリーフレットに「万が一の事故の際も、放射性物質の放出量は、福島事故時の約2000分の1と確認された」などと記述していた。なぜそう言いきれるのか。想定外にも備えるのが福島の教訓ではなかったか。佐賀県の山口祥義知事が「安全神話につながる」と苦言を呈するのは当然である。

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)では、広島高裁が熊本県・阿蘇山から約130キロの距離にある点を重視し、大規模噴火が起きた際に「火砕流が到達する可能性が小さいとは評価できない」と運転を差し止めた。阿蘇から玄海までの距離も伊方とほぼ同じだ。

 本社加盟の日本世論調査会が2月下旬に行った調査では約83%が新規制基準下でも「深刻な事故の懸念は残る」と答えた。政府は国民の懸念や不安を厳粛に受け止めて福島の教訓を再認識すべきだ。なし崩しの再稼働は許されない。

=2018/03/13付 西日本新聞朝刊=

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