「東大を優秀な成績で卒業し、国家公務員上級試験をトップクラスで合格した人材のほとんどが、わが省入りを希望する」…

西日本新聞

 「東大を優秀な成績で卒業し、国家公務員上級試験をトップクラスで合格した人材のほとんどが、わが省入りを希望する」。財務省が大蔵省だったころ、友人の同省官僚が話していた

▼自慢話というより、予算編成、税、財政、金融を所管し、国家を支えている「官庁の中の官庁」の自負であろう。その評価が地に落ちたのは1998年の接待汚職事件。金融機関の検査情報などを漏らす見返りに官僚が過剰接待を受けていた

▼責任を取って三塚博蔵相が辞任。同省は財務省と金融監督庁に解体・分離され、1300年続いた「大蔵省」の名を失った。財務省は猛省し再生を誓った。それなのに、今回の公文書改ざんである

▼明らかになった決裁文書を見ると、安倍晋三首相への忖度(そんたく)から、国有地売却に特例的な便宜を図り、ばれそうになると、政権を守るためにごまかしを重ねてきたとしか思えない。「大蔵」の看板と一緒に、官僚としての矜持(きょうじ)も、守るべき「吏道」もなくしたか

▼「吏道」は司馬遷が著した中国の歴史書「史記」に登場する。漢の武帝が官職を金で買えるようにしたため、吏道が乱れたと嘆いている

▼史記には「曲学阿世(あせい)」という言葉も。真理を曲げて権力者や世間におもねることだ。財務省は、権力者ではなく国民の奉仕者であるという吏道に立ち返り、保身を捨てて疑惑を徹底的に解明しない限り、「曲学阿世の徒」の汚名はそそげまい。

=2018/03/15付 西日本新聞朝刊=

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ