カンタン 草原から風情ある鳴き声

 夏も終わりに近い草原では、コオロギなど鳴く虫たちの声があちこちから聞こえてきます。それが夜になると、一段とにぎやかな大合唱に変わります。そんな鳴く虫たちの中に、ここで紹介するカンタンもいるのですが、他の虫たちに比べて鳴き声が優しく静かなので、なかなかその姿を見つけることができません。

 その鳴き声は聞く人によって表現は異なるものの、私には「ルルルルルルル」と聞こえます。一度鳴きだすと一本調子で鳴き続けますが、非常に神経質でちょっとした周りの異常を長い触角で感じ取ってはすぐに鳴きやんでしまい、その後なかなか同じ場所で鳴きだしてくれません。カメラを20~30センチの距離まで近づけなければならない撮影では、その鳴いている瞬間をうまく写しとるのに大変な苦労と根気を必要とします。

 草の中ならどんなところでも鳴くのではなく、ススキなどのような細長い葉や広い空間に身を置いて鳴くことはなく、必ずといってよいほど幅広い葉っぱのふちのギザギザと切れ込んだ部分や、虫食いの穴のところからからだをのぞかせて鳴くおもしろい習性があります。どうやら、鳴き声をある方向に向けて効率よく響かせる術を知っているようです。

 秋も深くなってくると、昼間でも鳴くようになり、ススキの穂が揺れる草原の中、どこからともなく風に乗って聞こえてくるカンタンの鳴き声は、とても風情のあるものといってよいでしょう。

この記事は2014年08月19日付で、内容は当時のものです。

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