米国の利上げ 通商政策がリスク要因か

西日本新聞

 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利の誘導目標を「年1・50~1・75%」へ0・25%引き上げた。

 米国経済は世界経済が堅調さを維持する中、大型減税の効果に加えて、雇用情勢の改善が続き、緩やかに拡大している。

 さらに、米議会も連邦政府予算の歳出上限の大幅引き上げに合意した。そうした中での今回の利上げは極めて妥当といえよう。

 就任後初のFOMCに臨んだパウエルFRB議長にとっても、その船出は堅実で順当なものになった。ただし、この先、米国をはじめ世界経済には、トランプ政権の強硬な通商政策が新たなリスクとなりつつある。FRBには政権の動向を注視しつつ、慎重な金融政策の運営を期待したい。

 今回の利上げは市場が織り込み済みで、焦点は今後の利上げペースだった。市場には「今年4回」の利上げ観測もあったが、FRBは今回を含め「今年3回」とする昨年末の見通しを維持し、物価次第で年4回への含みも持たせた。

 先月の世界的な株安が「FRBは利上げを加速する」との観測に市場が過剰反応した結果だったことを顧みれば賢明な判断だろう。

 パウエル議長の船出は順調だったが、今後のかじ取りは極めて難しいと言わざるを得ない。

 最大の問題はトランプ政権の通商政策の行方だ。鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動したのに続き、知的財産権侵害を理由に中国へ制裁措置を発動する準備も進めている。中国からの通信機器など多品目に高関税を課すようだ。

 保護主義的な政策に投資家の警戒感は強い。市場は変動幅の大きい不安定な状態が続くだろう。制裁が報復措置につながれば、世界経済の不安定化も招きかねない。

 トランプ政権が財政を拡大させつつ、強硬な通商政策をとる中で、成長率とインフレ率の双方をどう安定させていくか。新議長が率いるFRBに課せられた重い命題となるだろう。

=2018/03/24付 西日本新聞朝刊=

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