「豊かさ」人口増に生かせ 新国富指標 九州7県全市町村算出

西日本新聞

鳥栖市や久山町など将来有望

 自然や住民の健康レベルなどを地域の資産と捉えて数値化した経済指標「新国富指標」を研究している九州大都市研究センターは、九州・沖縄全274市町村の指標を初めてまとめ、人口動態と併せて分析した。人口が増加もしくは横ばいで推移している場合、住民1人当たりの新国富指標が大きいほど地域の持続可能性が高いと考えられ、こうした自治体の上位に鹿児島県十島村、佐賀県鳥栖市、福岡県久山町などがランクした。

 新国富指標は(1)人工資本(道路や工場)(2)人的資本(出生・死亡率や就学年数、労働生産性)(3)自然資本(森林や農地面積、漁獲量)を中心に、地域の資産を金額で示す。国内総生産(GDP)だけでは把握できない豊かさの測定手法として注目され、久山町が新国富を増やすための全世帯アンケートを実施。熊本県水俣市が総合計画に新国富を反映させる方針を打ち出すなど、政策立案への活用が進んでいる。

 同センターは今回、2015年の各種統計に基づき、市町村の新国富の金額を算出した。ただし住民1人当たりの金額は人口減少が進むほど大きくなる傾向があるため、10年から15年の人口変化と併せて地域の持続可能性を探った。

 それによると、人口が増加もしくは横ばいで推移している市町村の1人当たり新国富は、鹿児島県十島村が3596万円でトップになった。2位は佐賀県鳥栖市(3457万円)、3位は福岡県久山町(3435万円)。こうした市町村は新国富に「余力」があり、人口が増えても豊かさを維持できる可能性が高い。

 人口減少地域も含めた1人当たりの新国富では、長崎県対馬市が5518万円でトップ。鹿児島県長島町(5287万円)、大分県姫島村(5046万円)と続き、5千万円超の3市町村を離島が占めた。いずれも人口減に歯止めがかかっていないが、新国富の大きさを生かした施策の展開次第では、移住者を増やした十島村のように人口増に転じる余地がありそうだ。

 一方、1人当たりの新国富が最も小さいのは福岡県糸田町の1317万円で、対馬市とは4倍の開きがあった。次に小さいのは同県桂川町と岡垣町で、ともに1517万円。人口は糸田、桂川両町が減少、岡垣町が横ばいだが、いずれも新国富の小ささが人口増を制約する要因になっている可能性があるという。

 九州3政令市の1人当たり新国富は、福岡市2401万円、北九州市2147万円、熊本市2187万円。九州7県都では最大が佐賀市の3286万円、最小が熊本市だった。

 同センター長の馬奈木俊介主幹教授は「新国富の小さい市町村は豊かさを高め、人口減を食い止めることが必要だ。予算配分や施策の優先順位を考える際、指標を参考にしてほしい」としている。

=2018/03/26付 西日本新聞朝刊=

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