「いい年をして」高齢者の性、タブー視する風潮 ストーカー行為に及ぶ60代 相手に執着してしまう背景とは

西日本新聞

高齢者のストーカーにもメールが利用される(写真と本文は関係ありません) 拡大

高齢者のストーカーにもメールが利用される(写真と本文は関係ありません)

罪を犯す高齢者たち<3

 くらくらする頭に浮かんだのは、元交際相手の顔だった。60代半ばの男性は、1人暮らしの自宅で熱中症になり、自ら救急車を呼んだ。点滴を終えると、その足で彼女のアパートへ向かった。接近禁止の命令を受けていたにもかかわらず―。

 「逮捕されてもいいという気持ちでした」。それほど大切な存在だった。15年前になじみの居酒屋で知り合った。交際を始めてからは、勤め先が倒産して生活が安定しない時期でも、2人で支え合ってきた。

 関係が暗転したのは、倒れる1カ月ほど前だった。彼女が大病を患い、言動が荒れるようになっていた。ささいなことでけんかになり、翌日にアパートを訪ねると警察に通報された。

 以前は「最後まで一緒にいようね」と話していた。病気が治れば、気持ちも落ち着くかもしれない。しばらく待ってみよう。だが、自分が倒れて急に心細くなった。迷わず、アパートの呼び鈴を鳴らした。

 応答はなかった。電話にも出てくれなかった。数日後、警察が来た。「分かっているだろうな」と告げられ、ストーカー規制法違反容疑で逮捕された。

 執行猶予判決を受けた半年後、男性の家を訪ねた。「正直、参っています。睡眠薬を飲まないと眠れなくて」。せんべい布団が敷かれた殺風景な部屋で、酒浸りの日々だという。 

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