矛盾答弁どう説明 佐川氏27日証人喚問

西日本新聞

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざん問題で、衆参両院予算委員会は27日、佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官の証人喚問を行う。同省理財局長として国会答弁を担当した佐川氏は、学園側と事前に貸付料や売却価格の交渉はなかったと主張。だが、文書改ざんの発覚によって、答弁と改ざん前の記述の矛盾点が浮かんでいる。その整合性をどう語るのか。そもそもの背景に政治側の関与や忖度(そんたく)はあったのか。佐川氏の説明は安倍政権の行方を大きく左右することになる。

 ■改ざん前文書に経緯 土地取引の交渉否定

 国は2015年5月、10年以内の売却を前提に、大阪府豊中市の国有地を年2730万円で貸し付ける定期借地契約を学園側と締結。学園は16年3月、地中から「新たなごみ」が見つかったとして、ごみ撤去費を値引いた額で土地を買い取ると申し出た。国は同6月に評価額から約8億2千万円を値引きした約1億3400万円で売却した。

 契約を巡って佐川氏は昨年3月、「国有財産地方審議会前に、具体的な貸付料などを提示することはない」と答弁。だが、改ざん前の決裁文書によると、審議会が開かれたのは15年2月10日。その前の同1月9日には「貸付料の概算額を伝える」との記載がある。改ざん後の文書ではこれらの経緯は削除されていた。

 貸付料について、国は学園側から「軟弱地盤だ」として減額を求められ、額を修正。佐川氏はこの経緯に関し、学園側から地盤調査報告書が提出され「軟弱地盤であることが判明した」と説明していたが、改ざん前の文書には「地質調査会社から、特別に軟弱であるとは思えないとの見解があった」と記されている。改ざん後の文書は、不動産鑑定士に意見聴取したところ「賃料に影響するとの見解があり」との文言に差し替えられていた。

 売買契約でも、佐川氏は「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」と繰り返してきた。だが、近畿財務局と学園側の協議内容の音声記録からは、籠池(かごいけ)泰典前理事長が「1億3千万円よりもグーンと下げていかなあかんよ」と要求し、財務局側が「ゼロに近い金額までできるだけ努力する」と対応していたことが判明。改ざん前の文書からは「学園の提案に応じて鑑定評価を行い価格提示を行う」との記述が消えていた。

 8億円値引きについて「適切だった」と繰り返し、音声記録などの確認を求められても「控えたい」としてきた佐川氏の対応が改めて問われることになる。

 ■昭恵氏らの記述削除 働き掛け「なかった」

 なぜ、佐川氏は決裁文書と矛盾する答弁をしなければならなかったのか。決裁文書は誰の指示で、何の目的で改ざんされたのか。

 佐川氏は一連の土地取引に関し「政治家からの不当な働き掛けは一切なかった」と答弁してきた。一方で、改ざん後の文書からは複数の政治家から問い合わせを受けていた経緯や、学園が開校予定だった小学校の名誉校長を一時務めていた安倍晋三首相夫人の昭恵氏に関する記述が軒並み削除されていた。

 首相も麻生太郎財務相も改ざんへの関与を強く否定。26日の参院予算委で首相官邸や麻生氏の指示を否定した財務省の矢野康治官房長は「事務方でやったことだ」と強調した。

 野党側は「刑事罰に問われかねないリスクを冒してまで、官僚が自ら改ざんを行うとは考えにくい」と指摘。政治家の指示や圧力、首相夫妻への忖度がなかったかをただす構えだ。

 ただ、佐川氏は契約時の理財局長ではない。大阪地検が捜査中であることを理由に、具体的な答弁を避ける可能性もある。全容解明が進むかは不透明だ。

=2018/03/27付 西日本新聞朝刊=

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