「待ち遠しかった」ダム撤去で清流が戻った川 今シーズン初の川下り ガイドが再生へ決意 熊本

西日本新聞

 「この日が待ち遠しかった」。八代市坂本町の県営荒瀬ダム撤去完了式典が行われた27日の朝、8年前に県外から坂本町に移り住んだリバーガイドの溝口隼平(じゅんぺい)さん(36)は、上流のJR瀬戸石駅近くの河原から、今シーズン最初の川下り「ラフティング」のゴムボートに乗り込んだ。ダム撤去で清流が戻った球磨川にボートをこぎ出し、「これからが球磨川の本当の再生が始まる」と力を込めた。

 溝口さんは全国のダム撤去運動をテーマにしていた東京大大学院の研究員だった2010年、「ダム撤去による川の再生を見届けたい」と荒瀬ダム近くの空き家を夫婦で借りた。同年からのダムゲートの全面開放、水位低下設備の設置、ダム本体の撤去-と工事が進むのに伴い、河川環境がどう変化するかや住民の聞き取り調査などを続けている。

 「再生した川の流れを生かして経済的価値をつくり出し、地域の活性化につなげたい」と、上流の人吉市で盛んなラフティングの会社に4シーズン勤めて技術を学んだ。昨夏、荒瀬ダムの約10キロ上流からダム跡を通るルートのラフティング会社を設立。「再生」を意味する「Reborn(リボーン)」と名付けた。

 この間、2人の子どもにも恵まれた。シーズンオフの冬場は主に植林の仕事をして生活費を稼ぐ。球磨川漁協にも加入し、荒瀬ダム近くの漁場を割り当てられた。ラフティングでは釣りや漁業体験を盛り込んだツアーも計画している。

 気がかりなのは、ダム撤去で下流に砂や砂利が自然流下し、アユの健全な産卵場ができている一方で、上流の瀬戸石ダムが川の流れをせき止めているため、新たな砂利などの供給がないことだ。「根本的な川の再生にはまだ課題がある」と考えている。

 それでも「釣りや投網、散歩など生活と川が一体になった光景が見られるようになったのがうれしい」と言う。「自然の流れが戻った球磨川で、川と人のもやい直しが進んでいくのを、プレーヤーにもなって見守っていきたい」と未来を見据える。

=2018/03/28付 西日本新聞朝刊=

熊本県の天気予報

PR

熊本 アクセスランキング

PR

注目のテーマ