ドイツビール本場の仕込み 10月に門司港で「オクトーバーフェスト」 地ビール製造会社を訪問 新工場に芳醇な香り

西日本新聞

 毎年600万人の人出でにぎわうというドイツのビール祭り「オクトーバーフェスト」。日本でも毎年秋に同名の催しが各地で開かれ、ビール好きにはたまらないイベントだ。今年も待ち遠しいと思っていたら、九州の玄関口である北九州市の門司港で「本場ミュンヘンのフェストを忠実に再現しよう」と、10月の祭り開催に向けて準備が進んでいるらしい。祭りで飲むためのビールを特別に仕込むという、地ビール製造会社の「門司港レトロビール」(同市門司区東港町)を訪ねた。

 「オクトーバーフェストは、ただ『ビールを飲む祭り』ではないんです」。本場のフェストは19世紀にバイエルン王国の王太子の結婚を祝ったのが始まりとされるが、同社醸造部長の峯松幸之助さん(41)が教えてくれたのは別の由来だった。ドイツでは冷蔵技術が未発達なころ、気温や湿度が上がる4~9月のビール造りは禁止。10月に入ってビールを仕込む前、たるに残ったビールを勢いよく空けたのが始まりという。

 その際に飲むのは3月に造ったビール。長期間熟成しているため、アルコール度数は6%前後(日本のビールは5%前後)とやや高め。炭酸が柔らかくなり、モルトの深く豊かな風味が特徴という。祭りの期間中にだけ飲むことができる特別なビールとして「フェストビア」と呼ばれるようになった。

 峯松さんが「本場」を知ったのは2002年。醸造部長就任に合わせ、ドイツのビールを味わいたいとミュンヘンへ飛んだ。日本では現在ほど盛んではなかったオクトーバーフェストを体験。フェストビアは複数の醸造所が提供していたが、「1リットルのジョッキで何杯飲んでも飽きなかった」と感動した。以来、フェストビアを日本で再現し、多くの人に味わってほしいとの思いを募らせていた。

 昨年、交流のある九州各地のビールメーカー3社に呼び掛け、今年10月に「九州オクトーバーフェストin門司港」を開催することを決めた。熊本クラフトビール(熊本市)、宮崎ひでじビール(宮崎県延岡市)、霧島酒造(同県都城市)も3月中にフェスト向けのビールを仕込み、門司港に集う。峯松さんは「本場のように、各社がフェストビアで味を競う祭りを再現する」と意気込む。

 門司港レトロビールでの仕込みは29日、生産量の拡大に伴い、2月に移転したばかりの新工場で行われた。麦芽を「モルトミル」と呼ばれる粉砕器に投入して細かく砕き、麦汁にホップを加えて煮沸するなどの作業が進み、芳醇(ほうじゅん)な香りが広がった。通常は5月には飲めるようになるが、10月まで寝かせて“門司港版フェストビア”に仕上げる。

 用意するのは1500リットル。麦芽の配合量やホップを加えるタイミング一つで、ビールの味は変わるだけにどの従業員の目も真剣そのもの。「いずれは九州各地を巡回してイベントを開き、ビール文化を広く知る機会を提供したい」。峯松さんは夢を膨らませている。

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 「九州オクトーバーフェストin門司港」は10月5~8日、北九州市門司区の観光地・門司港レトロ地区で開かれる。ドイツのフェストビアとおつまみの定番「プレッツェル」も出品。九州各地のグルメも集う。

=2018/03/31付 西日本新聞朝刊=

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