「地下水汚染で健康への影響は」 太宰府の山林乱開発に疑問と怒り 説明会で質問相次ぐ

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 麻生教育学園(本部・福岡市)所有の太宰府市の山林が乱開発された問題について、学園側による住民向けの防災工事説明会が27日に地元であった。住民約20人が出席。県指導で行う工事には同意したが、埋め立てた土砂の安全性や地下水への影響、情報提供がないまま乱開発が進められたことへの疑問と怒りが噴出した。

 ■地下水汚染が心配

 現場は同学園が運営する九州情報大近くの県道筑紫野古賀線バイパス沿いにある。樹木を切ったのり面を大量の土砂で埋め立てた状態だ。県の「土砂埋立て等による災害の発生の防止に関する条例」に違反しており、県は知事の許可を得て防災工事を行うよう指導している。

 説明会には、学園の顧問弁護士や防災設計を委任された業者らが出席。土砂崩落の危険性があるのり面(高低差約40メートル)を(1)30度以下の緩やかな勾配にし、高さ5メートルごとに平場(小段)を造成(2)小段ごとの横の排水溝や上から縦の排水管を下まで通して沈砂池も設ける-などと説明した。

 「今よりは安全性が高くなる」と説く学園側に対し、住民からは「埋め立てた土砂は産業廃棄物ではないのか。それは除去しないのか」などの質問が相次いだ。井戸水を生活用水に使う住民からは「地下水汚染で健康被害の危険はないのか」と切実な訴えもあった。

 ■05年に予兆あった

 なぜ、乱開発を防げなかったのか。取材を進めると、1994年の県道バイパス開通前後から活発に動いた地元開発業者A氏(昨年死去)の存在が浮かんできた。麻生教育学園はA氏の仲介で周辺の山林を買い、管理も一任していた。

 A氏と関係がある業者がダンプカーで現地に残土搬入を始め、埋め立てを始めたのは2年ほど前から。すぐ下に農地を持つ住民が「豪雨で崩れたら危ない」と昨年夏、市に相談して問題が発覚した。

 実は乱開発の予兆が05年ごろ、現地であった。現地と県道バイパス間の県有地を業者が造成したのだ。A氏主導とみられる造成を、県は「道路法に基づき、業者車両が県有地を通るための工事を承認した模様。文書は廃棄済みで詳細は不明」としている。

 ■別の不法占用判明

 県有地のその後の状況を県がチェックした形跡はない。造成された県有地と学園所有地の境界は不明になり、結果的に業者のダンプカーは県有地を通って出入りしては、奥の山林斜面に無許可で土砂を埋め立てていったのだ。

 バイパスを挟んで反対側にある県有地についても、別の業者による不法占用の事実が新たに判明。県の担当者は「いずれも官民の境界を確定させ、重機など不法占用物の撤去を指導する」として、本格的に対応に乗り出している。

 今回の問題を調べている地元選出の渡辺美穂県議は「不法占用は県有地管理の不作為が原因。それが乱開発を招いたと言われても仕方がない」と指摘する。防災工事は2年かかるという。学園と県、市一体となって住民が納得する姿に現地を再生できるかが問われる。

=2018/03/31付 西日本新聞朝刊=

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