年金給付ミス 失態を何度繰り返すのか

 なぜこれほど、不祥事を繰り返すのか。日本年金機構には、老後の大切な支えとなる公的年金の運営業務を担う責任感も資格も欠けている-と言わざるを得ない。

 機構が業務委託した業者の入力漏れやミスが原因で所得税が正しく控除されず、2月の支給額は約10万人分が本来の額より少なく、逆に4万5千人分は多かった。

 加えて、控除を受けるための申告書の様式が大幅に変更された影響で、未提出や提出遅れが続出した。これらを含めると、過少支給は計約140万人に上る。今後の支給で調整されるが、それで済む問題ではない。

 未提出などの多発は、新たな様式の分かりにくさが一因だろう。事前の告知も不十分だったのではないか。委託業者のミスに至っては、大失態と言うほかない。

 業者は、契約通りの人員を確保せず、人が入力すべきところを、機械で書類のデータを読み取っていた。一部の業務は無断で中国の業者に再委託していた。

 厚生労働省は「情報流出は確認されていない」というが、大量の個人情報が極めてずさんに取り扱われたことに変わりはない。

 機構は昨年10月以降の立ち入り検査や監査で、こうした実態を把握しながら、2月まで委託を継続していた。「繁忙期で代わりの業者が見つからなかった」と釈明するが、年金業務に不可欠な厳格性を軽んじた無責任な弁明としか聞こえない。

 機構は2010年、年金記録のずさんな管理などの不祥事が相次いだ社会保険庁の解体に伴い、信頼回復の役割を担って発足した。

 にもかかわらず、15年に職員端末への不正アクセスで約125万件の個人情報が外部へ流出するなど、不祥事は一向に絶えない。ガバナンス(組織統治)の欠如は、まさに旧態依然ではないか。

 機構は調査組織を設け、業者の監督体制などを見直すという。外部委託の在り方も根本から改めるべきだ。年金制度に対する国民の信頼をこれ以上損なうことは断じて許されない。

=2018/03/31付 西日本新聞朝刊=

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