筋痛性脳脊髄炎に理解を 患者会がドキュメンタリー製作 「苦しむ現状知って」

西日本新聞

 激しい体のだるさや痛みが続く「筋痛性脳脊髄炎(きんつうせいのうせきずいえん)(ME)」と闘う患者たちを描いたドキュメンタリー映画「この手に希望を」が完成した。製作したのは、患者会のNPO法人筋痛性脳脊髄炎の会(東京)。理事長の篠原三恵子さん(60)は「病気の認知度が低いため、周囲に理解されずに苦しむ患者は多い。たくさんの人に現状を知ってほしい」と話している。

 この病気は、突然全身の倦怠(けんたい)感に襲われ、睡眠障害や思考力の低下、発熱などが長期にわたって続く。原因が解明されておらず、有効な治療法も確立されていない。国内の患者数は人口の約0・1%に当たる十数万人と推計されている。

 映画は、1990年に米国留学中に発症した篠原さんを中心に、患者たちが米国のドキュメンタリー映画を翻訳して上映会を開き、病気の研究や理解の促進を訴える姿を描く。日本ではMEではなく、一般的に「慢性疲労症候群」と呼ばれるため、周囲に「怠けている」とのまなざしを向けられるなど、社会の偏見や無理解によって苦しめられていることも浮き彫りにした。

 厚生労働省の調査では、患者の約3割が寝たきり状態の重症。にもかかわらず、医療費が助成される難病に指定されておらず、客観的な診断基準がないことなどから診療できる医師も少ない。一般的な検査では異常が見つからないため、寝たきりや車椅子の生活であっても障害者手帳の取得も進まず、十分な福祉サービスを受けられていない人が多いという。映画では、全国各地に住む患者約20人にインタビューし、こうした現状を訴えている。

 監督は、多くのアニメーション作品を手掛ける有原誠治さん(70)。2010年の患者会発足時から支援してきた有原さんは「カメラの前に立つことができないほど、症状が深刻な人もいた。一日も早く必要な支援が受けられるようになってほしい」と語る。

 今後は、医療関係者や図書館を通じてDVDを広めるほか、各地で上映会を開く計画。篠原さんは「人格を踏みにじられるようなひどいことを言われ、10年ほど前までは病名を隠して生きてきた。人権問題としても非常に深刻な問題。患者たちの声にぜひ耳を傾けてほしい」と呼び掛けている。問い合わせは同会=03(6915)9281。

=2018/04/01付 西日本新聞朝刊=

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