63歳元バスガイドの「案内」人気 公民館で高齢者に“各地を巡る旅” 臨場感たっぷりの名調子

西日本新聞

 遠出が難しいお年寄りも、かつての思い出に浸り、バス旅行気分に酔いしれる。長崎県佐世保市の元バスガイド山口美都子さん(63)が地域の公民館などに出向いて繰り広げる九州各地の「案内」が人気を集めている。バスはなくても観光地をスクリーンに映し出し、当時の制服に身を包んで臨場感たっぷりの名調子を披露、喝采を浴びている。

 山口さんは1975年から市交通局の観光バスガイドとして主に九州や中国・四国地方を訪れ、乗客と触れ合ってきた。大好きな仕事だったが、十数年で貸し切り観光バスは廃止に。2人まで減っていたバスガイドは、市の一般職員に配置転換された。

 「昭和のバスガイドの話術を生かせる」と思い、老人会などでボランティア活動を始めたのは10年ほど前。昨年6月には本紙投稿欄テレプラ(福岡県内は夕刊掲載)に「感激でした。この年で1人暮らしの身では、こんな旅はなかなかできません」という参加者の声が届いた。定年後は活動を続けるか迷っていたが「涙が出るほどうれしかった。勇気をもらえた」と話す。

 今年3月、投稿欄を通じ活動を知った長崎県時津町のシニアクラブに招かれた。現役時代の制服、制帽、名札を着用した山口さんが姿を見せると、地域の高齢者約30人が集った公民館は観光バス車内のような雰囲気に。「若くてきれいなガイドで良かったでしょ?」。元ガイドの問い掛けに会場は大笑いに包まれた。

 “各地を巡る旅”では、江戸時代初期の長崎に住み、混血を理由に国外追放された女性「じゃがたらお春」の悲話も解説。「赤い花なら曼珠沙華(まんじゅしゃげ)…」で始まる「長崎物語」を歌うと会場は大合唱になった。

 この日のバスの旅は1時間半で終着点へ。最後の決めぜりふは「ご乗車、誠にありがとうございました~」。元ガイドの旅はまだまだ続く。

=2018/04/03付 西日本新聞朝刊=

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