熊本地震の被災者、増える“受診控え” 医療費免除終了から半年 「新たな犠牲を生む」指摘も

西日本新聞

 熊本地震で被災した国民健康保険加入者などの医療費の自己負担を免除する特例措置終了から半年が過ぎ、「受診控え」を指摘する声が相次いでいる。熊本県保険医協会のアンケートでは、回答した医師の46%が受診控えが「ある」とした。支援者などからは「仮設暮らしの長期化で健康状態が悪化している被災者は多く、受診控えは地震の新たな犠牲者を生みかねない」と再開を求める声が上がる。

 同県甲佐町の仮設住宅で暮らす女性(66)は、一昨年6月の入居以降、たびたび体の不調を感じるようになった。昨秋は首が痛み、動かなくなったが「原因を調べるのにいくらかかるか分からない」と受診を諦めた。自身は年金暮らし。自宅再建のためにローンを組んだ子どもに負担を掛けたくはない。「命に関わらないなら極力辛抱したい」

 女性が住む仮設団地の自治会長、児成豊さん(63)は、免除再開を求める400人以上の署名を集めた。「家を失いマイナスから出発する人にとって、医療費負担は大きな不安材料になっている」と訴える。

 熊本県民主医療機関連合会が昨年11~12月、同県益城町の仮設住民346人に行った聞き取りでは、約半数が「地震後の体調悪化を感じている」と回答。今後の通院については2割が「回数を減らす」または「通院できない」と答えた。

 被害が大きい県内8市町村の医師ら333人を対象に熊本県保険医協会が実施したアンケートでは、57%が医療費免除再開の必要性について「強く思う」「ある程度思う」と回答した。木村孝文会長は「仮設やみなし仮設の入居者や低所得者など対象を絞った上で再開するべきだ」と強調。医療費節約のため、薬の服用を「間引く」患者も目立つという。熊本学園大の高林秀明教授(地域福祉論)は「医療費免除で早めの受診を促した方が重症化を防ぎ、長い目で見れば自治体の医療費負担抑制につながる」と指摘する。

 医療費免除は、被災自治体が継続を希望すれば、特例措置終了後も国が8割を補助する仕組み。東日本大震災で被災した岩手県では、市町村と県が1割ずつ負担して免除を続けている。熊本県は昨年9月末に特例措置を終了、県内で再開を検討している市町村はないという。

=2018/04/03付 西日本新聞朝刊=

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