「同じ市内でなぜ」アレルギー用給食に地域差 中学校3割は未提供 保護者は憤り 福岡市

西日本新聞

 福岡市の中学校給食で、食物アレルギーへの対応の違いが地域によって生じている。2014年以降に完成した二つの学校給食センターは約7割の学校にアレルギー対応食を配っているが、残る2センターは担当する約3割の学校に提供していない。食物アレルギーは学校で死亡事故になったこともある問題。保護者は対応を求めているが、市教育委員会は、新しい給食センターの整備が終わるまで「違いがあるのはやむを得ない」としている。

 「住んでいる場所によって差があるのはおかしい」。この春から長男(12)がアレルギー給食未対応の中学に通う東区の母親(50)は憤る。長男は小麦、卵、大豆にアレルギーがある。口に入り、血圧低下や意識障害などを引き起こすアナフィラキシーショックに備えて、エピペンと呼ばれる注射剤が手放せない。

 給食を校内で調理する小学校の頃は栄養教諭と相談して、アレルギーの原因食材(アレルゲン)を抜いた給食と同じおかずを持たせた。仕事との両立がきついときもあり、中学校はアレルギー対応食が出ると聞いて安心していた。だが、進学する中学が対象外と知ってぼうぜんとした。

 福岡市は4カ所の給食センターを3カ所に再編する計画で、14年と16年に新センターが完成。2センターから42校の約80人それぞれに、アレルゲンを除いた給食を届けている。

 一方、再編前から稼働している2センターは食物アレルギーに対応する設備がない。担当する中学で対応食が必要な生徒は22校の約50人。関係者によると、生徒は食べられる給食だけを食べたり、弁当を持参したりしている。市内全域に対応食が提供できるのは、3カ所目の新センターが完成する20年夏以降の予定だ。

 東区の母親は市教委に、新センターで対応給食を作って運んでもらえないかと相談した。担当課は、博多区の新センターから東区の5校に10人分の対応食を配送する場合に「最低900万円かかる」と難色を示したという。対応食が出る学校に入学させることも検討したが断念。長男の学校では3年生の2学期になるまで、対応食は届かない。

 食物アレルギーに詳しい国立病院機構福岡病院(福岡市南区)の非常勤医師、柴田瑠美子さんは「この問題は患者からよく聞く。福岡市は対応が行き届いていない。親と子の状況に寄り添ってほしい」と話した。

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■配送などに費用 国の指針も影響

 福岡市教育委員会が食物アレルギーのある生徒全員に対応する給食を提供しないのは、文部科学省の基準や指針も影響している。

 学校給食法に基づく学校給食衛生管理基準は、給食センター(共同調理場)で作った食品について、調理後2時間以内に食べられるように定める。市教委の担当課は「アレルギー対応食を2時間以内に食べられるようにするには、調理者や配送車が別に必要で費用がかかる」と説明する。

 文科省の「学校給食における食物アレルギー対応指針」は、学校や調理場の設備、職員数などに照らして「無理な対応は行わない」としており、市教委はこれに従った形だ。

=2018/04/03付 西日本新聞朝刊=

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