玄海3号機停止 不安解消へ真摯な姿勢を

西日本新聞

 原子力発電所の稼働には言うまでもなく、徹底した安全点検と地元の理解、協力が不可欠である。この大前提に照らすと、どこかに油断がなかったか。九州電力には、改めて真摯(しんし)な取り組みを求めたい。

 玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で配管から蒸気が漏れるトラブルが起き、再稼働から1週間で発送電を停止する事態となった。配管に直径1センチ程度の穴が開いていたという。

 放射性物質の漏れはないというが、不安を感じた住民は多かろう。2015年、4年ぶりに再稼働した川内原発1号機でも蒸気を水に戻す「復水器」のトラブルが起きている。

 両原発とも、福島第1原発事故後に定められた厳しい新規制基準に適合した、とされる。再稼動までに設備を点検する時間は十分にあったはずだ。

 にもかかわらず、なぜこんなトラブルが生じたのか。長期停止後の再稼動に当たって、九電は安全点検の在り方を検証し、その情報を開示すべきである。

 今回、佐賀県に九電から第一報が入ったのは、蒸気漏れ確認から約2時間後だった。九電は状況把握に時間がかかったとしているが、重大な事態であれば対応は一刻を争う。

 県側が九電からの連絡の遅れについて経緯の説明を求めたのは当然であろう。小さなトラブルであれ、速やかに関係自治体に伝える姿勢が肝要である。

 今回のトラブルで、原発の安全点検や地元への通報の在り方などについて疑念を抱いた住民は立地自治体だけに限らない。玄海原発の半径30キロ圏は3県7市1町にまたがる。

 九電は今夏、これらの自治体を対象に広域的な協力関係を築く「玄海原子力総合事務所」を設立するという。ただし、再稼働の際に「事前同意」を求める対象を立地自治体である佐賀県と玄海町に限定する姿勢は変えていない。

 日本原子力発電は先日、東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働や運転延長について、立地自治体に加え、周辺5市にも実質的に同意権限を認める安全協定を締結した。国内初の試みである。

 半径30キロ圏の自治体は原発事故を想定して避難計画を立て、実施する責務を負う。そのため玄海原発を巡っても同様の対応を求める声がある。原発の立地条件は地域ごとに異なり、一律にいかない面もあるが、九電も地元同意の範囲拡大について前向きに検討すべきではないか。

 国が再稼動を認めても、福島の事故で崩壊した原発の「安全神話」は復活したわけではない。原子力防災に向けては不断の取り組みが求められる。

=2018/04/03付 西日本新聞朝刊=

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