イラク日報発見 これでは全て信用できぬ

西日本新聞

 隠蔽(いんぺい)、改ざん、ずさんな管理-。こんなことでは、公文書に関わる政府の言動が全て信用できなくなる。

 小野寺五典防衛相は、2004~06年にイラクへ派遣された陸上自衛隊の活動に関する日報が、防衛省内に保管されていたことを明らかにした。この日報は昨年2月の国会で、当時の稲田朋美防衛相が「残っていない」と答弁していた文書だ。

 防衛省は南スーダン国連平和維持活動(PKO)を巡っても陸自日報を「廃棄済み」としていたが、その後保管していたことが判明した。一連の経緯は特別監察で「不適切な対応」と認定され、昨年7月に稲田氏が引責辞任する事態に発展した。

 今回も陸自の海外活動の日報であり、同じように「ない」としていた文書が出てきた構図だ。防衛省や陸自は「探索漏れであって隠蔽ではない」と弁明するが、不自然な点が多い。

 まず、自衛隊の活動における日報の重要性を考えれば「当時は探したが見つからなかった」という説明には首をひねる。

 陸自のイラク派遣を巡っては、派遣地のサマワを「非戦闘地域なので派遣しても問題ない」とする政府見解と、現地の緊迫した実態との矛盾が指摘されていた。開示すれば、日報の生々しい記述で現地の危険だった状況が明るみに出かねないので、日報の存在を否定したのではないか。そんな疑念が湧く。もしそうなら、動機面でも南スーダンの日報隠しと共通する。

 もう一つ不可解なのは、発見から公表まで時間がかかり過ぎている点である。陸自研究本部が日報のデータ発見を陸幕総務課に報告したのは今年1月12日だった。ところが、小野寺防衛相への報告は3月31日だ。

 2カ月半以上も何をしていたのか。国会の予算案審議で取り上げられるのを避けるため、公表を遅らせた可能性もある。

 防衛省の文書を巡っては、別の問題も浮上している。野党議員の情報公開請求によって開示された文書と、同じ表題で内容の違う文書の存在が確認されたのだ。開示用に文書の内容を変えた疑いが持たれている。

 「森友学園」との土地取引に関する財務省の決裁文書改ざんをはじめ、文部科学省や厚生労働省でも「ない」とした文書やデータの存在が明らかになるなど、安倍晋三政権下で公文書を巡る不祥事が相次いでいる。

 これらが単なる「ずさんな管理」なのか、政権や官庁の根深い隠蔽体質によるものなのか。国会で経緯や動機を徹底的に究明すべきである。公文書は国民の財産だ。政治家や官僚が自分たちの好き勝手にできると思っているなら大間違いである。

=2018/04/04付 西日本新聞朝刊=

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