亡き妻へ「シーユーアゲイン」 田川市の画家 「感謝」胸に個展

西日本新聞 筑豊版

妻直枝さんの遺影の前でアルバムをめくる植木好正さん 拡大

妻直枝さんの遺影の前でアルバムをめくる植木好正さん

道路脇に立てかけた直枝さんの絵を見つめる植木好正さん

 3月29日朝。澄み切った青空の下、田川市の画家植木好正さん(67)は、家から持ち出したいすに腰掛け、道路脇に立てかけた油彩画をじっとながめていた。3日前の夜、妻直枝さん(享年66)が他界した。目の前の絵は、すべて直枝さんと過ごした思い出を切り取った作品。「直ちゃんの最期の言葉は『シーユーアゲイン』でした。だから寂しくありません。でも、寂しいね」

 出会いは1992年。互いに1人で4人の子どもを育ててきた2人は2年後に結婚。以来、力を合わせて子ども8人を育て、巣立ちを見届けた。「子どもたちみんなに等しく愛情を注いでくれた直ちゃん。それが一番うれしくて、ありがたかった」。植木さんは振り返る。

 似顔絵を描き続け、1万人を超えた植木さん。「絵の練習のため」と勧めたのは直枝さんだった。98年、2人で訪れたフランスで描き始めてからおよそ20年。デパート、飲食店、老人ホーム…。筆を走らせる植木さんのそばにはいつも直枝さんがいた。

 2012年に乳がんを再発し、闘病を続けてきた直枝さん。今年3月下旬、田川市立病院に入院する直前の2日間、植木さんは2人きりで話をした。婚前旅行で訪れた鹿児島県・屋久島の宮之浦岳と昨年10月のザンビア旅行が「楽しかった」。直枝さんはそう言い、最期に「シーユーアゲイン」と笑顔で告げた。

 3月26日夜、息を引き取った病院のベッド脇にあった直枝さんのカバンには、葬儀代が備えられていた。

 「直ちゃん、幕引きも完璧だったね。24年間ありがとう」

    ◇   ◇    

 嘉麻市上臼井の織田廣喜美術館で6日から、植木さんの作品展「植木さんは何しにザンビアへ」が開かれる。ザンビアで描いた似顔絵を含む約260点のほか、急きょ直枝さんをモデルにした油彩画などを展示するコーナーを設ける。15日まで。織田廣喜美術館=0948(62)5173。

=2018/04/05付 西日本新聞朝刊=

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