米、対中制裁追加検討 トランプ氏が指示 10兆円、報復措置に対抗

西日本新聞

 【ワシントン田中伸幸、北京・川原田健雄】トランプ米大統領は5日、知的財産権侵害を理由に中国からの輸入品に追加関税を課す制裁措置について、対象を1千億ドル(約10兆7千億円)程度拡大する案を検討させると発表した。中国の報復措置を「不公正」と断じたトランプ氏は、強硬姿勢を示して譲歩を引き出す狙いとみられるが、中国側は強く反発。米国内でも報復措置の対象に挙がる農業関係者から批判が相次ぐなど、混乱が広がっている。

 米政府は3日、貿易相手国への一方的な対抗措置を認める米通商法301条に基づき、中国から輸入する約1300品目(計500億ドル相当)に25%の追加関税を課す制裁案を公表。中国が4日に報復措置を発表したことから、トランプ氏は5日の声明で、制裁対象を広げる妥当性と、新たな対象品目を検討するよう通商代表部(USTR)に指示したと述べた。

 トランプ氏は対抗姿勢を見せる中国について「不公正な貿易を是正せずに、農家や製造業者に危害を加える道を選んだ」と非難した上で、公約である「公正で互恵的な貿易」の実現に向け、中国側に厳しい対応を取る方針を改めて示した。

 ただ、同時に「議論の用意はある」とも言及。米政府高官も「制裁の実施が決まったわけではない。大統領は最高の交渉人だ」と述べ、中国側と引き続き妥協点を探る構えも見せた。

 これに対し、中国商務省の高峰報道官は6日夜に記者会見し、米国が新たな品目を公表すれば「すぐに強い力で反撃する。あらゆる選択肢を排除しない」と強調。解決に向けた米国側との協議については「このような状況ではいかなる交渉もできない」と述べ、譲歩を引き出そうとする米側をけん制した。

 トランプ氏の硬軟織り交ぜた交渉手法には米国内からも反発が出ている。中国側が報復措置の対象品目に挙げた食肉、大豆、綿などの生産者は「貿易戦争の激化に大きな不満を表明する。貿易問題は懲罰的ではなく建設的な方法で解決すべきだ」(大豆業界)などと批判する。

 農業や製造業はトランプ氏を支持する白人労働者層とも重なり、11月の議会中間選挙にも影響しかねない。このため、トランプ氏は5日の声明で「農務長官に、農民と農業の利益を保護する計画の実行を指示した」とも表明し、理解を求めたものの具体策については触れずじまい。株価の乱高下も含め、米国内外の経済に悪影響が及ぶことへの不安や懸念は強まる一方だ。

=2018/04/07付 西日本新聞朝刊=

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