普賢岳「大火砕流の日」の告示に波紋 長崎県の南島原市長・市議選 慰霊の妨げ懸念も

西日本新聞

平成新山(右奥)を望む水無川流域で昨年開かれた追悼行事=2017年6月3日、長崎県島原市 拡大

平成新山(右奥)を望む水無川流域で昨年開かれた追悼行事=2017年6月3日、長崎県島原市

 任期満了に伴い6月10日に投開票される長崎県南島原市長選、市議選(定数19)の日程が地元に波紋を広げている。告示日の3日が、隣の島原市で43人が犠牲となった雲仙・普賢岳の大火砕流発生の日と重なるからだ。「いのりの日」として市境に近い島原市側では毎年追悼行事があり、犠牲者には南島原市民もいる。関係者からは「選挙カーや演説の大音量が慰霊の妨げになるのでは」と日程変更を求める声も上がる。

 1990~96年の噴火では、両市を南北に隔てる水無川流域で火砕流や土石流が頻発。川の北側の島原市、南側の旧深江町(現南島原市深江町)が被害を受けた。91年6月3日に消防団員が亡くなった島原市の「北上木場農業研修所跡」などは特に市境に近く、追悼行事の会場でもある。

 「島原と深江は一体で災害と闘った」。旧深江町の元消防団長石川嘉則さん(79)=南島原市商工会長=はこう語る。当時、川沿いに土のうを積もうとし、住民に「島原の被害が大きくなる」と止められたこともある。毎年追悼行事に足を運ぶ石川さんは「選挙の雰囲気ではない。日程をずらしてほしい」と話す。

 大火砕流で知人の消防団員を亡くした現職市議も「日程を変えてほしい」と要望する。現行日程で行われる場合でも「少なくとも候補者は火砕流が発生した午後4時8分前後、深江での演説を避けるべきだ」と呼び掛ける。

 任期満了日は市長が7月19日、市議が5月13日。市選挙管理委員会は昨年9月、経費節減の側面などから同日選とし、6月10日投開票とする日程を決めたが、告示日が「いのりの日」と重なることは議論にならなかったという。市選管は「日程変更はまだ可能」としている。

=2018/04/11付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ