固い地盤が風化し崩壊か 地下水影響との指摘も 数日前から落石、地鳴り

西日本新聞

 大分県中津市耶馬渓町では4月に入ってから、まとまった雨は降っていなかった。大雨でもないのに、なぜ山が崩れてしまったのか。識者は、固い地盤が風化して崩壊した可能性や、地下水の影響など複数の要因を指摘している。

 国土交通省が11日に現地に派遣した専門家の一人、九州大大学院の三谷泰浩教授(岩盤工学)は、現地視察後に開いた記者会見で、「岩盤が風化して割れ目が多数入り、岩盤の強度が落ちていたのが原因と考えられる」と説明した。

 現場の地質は、火山性の「安山岩」の上に、溶岩が冷えて固まった「溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)」で主に構成。中腹の岩盤が滑り落ち、岩が風化して山肌の表層に積もった「崩積土(ほうせきど)」も一気に崩れたとみられるという。「長年にわたり、地下水や雨水などで岩盤の割れ目が広がったのではないか。雨が降らなくても、いつ崩れてもおかしくない状態だった」と指摘する。

 住民によると、山の異変は数日前からあったとみられる。自宅が土砂にのまれた飛瀬幸男さん(77)は「2日ほど前、山から石がガラガラと転がる音が聞こえた」と振り返る。2、3日前から「ゴー」という地鳴りがしていた、という話もある。国土技術政策総合研究所の桜井亘・深層崩壊対策研究官は、これらが「前兆現象だった可能性が高い」と指摘。ほかにも「20~30センチの長いミミズを多く見掛けた」「前日、銀杏(ぎんなん)のような、何かが腐ったような強烈なにおいがした」という住民の証言もある。

 大分地方気象台によると、耶馬渓町のアメダスの観測地点でまとまった雨が降ったのは、約3週間前。3月19~21日で計約70ミリを観測して以後はほぼ降らず、今月10日までの3日間では0・5ミリ以上の雨は観測されなかった。

 ただ、地元の建設会社幹部(41)によると、現場周辺の山は、水がたまりやすく地盤が緩いことが、地元の建設業者の間では知られていたという。

 11日、本社ヘリで上空から現場を見た福岡大の村上哲教授(防災地盤工学)は、崩れた山肌で、水が流れていることに注目。「地層の境界を流れるいく筋もの地下水が、山の表層にしみ出し、崩積土が崩れ落ちたのではないか」とみる。「雨が降らなくても、山が水をためこんでいたのではないか」と分析した。

=2018/04/12付 西日本新聞朝刊=

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