南北首脳ホットライン開設 非核化へ期待と不信 会談まで1週間

西日本新聞

 【ソウル曽山茂志】韓国大統領府は20日、文在寅(ムンジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が直接連絡を取り合うためのホットライン(直通電話)を開設した。文氏と正恩氏は近く、初めて電話会談する見通し。朝鮮半島の「非核化」に向けた史上初の米朝首脳会談の成功を占う27日の南北首脳会談まで1週間。韓国政府には、平昌冬季五輪から続く南北融和の流れが最高潮に達する期待感と、困難な課題に挑む緊張感が交錯している。

 「ソウルはとても天気が良いです。そちらはどうですか」「こちらも良いです」。韓国の南北首脳会談準備委員会によると、20日午後、ソウルの大統領府3階にある文氏の執務室と平壌にある国務委員会室をつなぐホットラインを使い、南北の担当者が相互に計4分余り試験通話した。

 南北間では初の首脳会談が開かれた2000年、韓国の情報機関、国家情報院と平壌を結ぶホットラインが設けられたが、実際には利用されなかった。今回、文氏が執務室で正恩氏と直接会談できるようになり、韓国政府には「南北首脳会談を定期的に開く布石になった」(関係者)と高揚感が広がる。

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 南北の関係改善、経済交流、統一問題が主要テーマだった過去2回の首脳会談と異なり、今回は核・ミサイル開発の「完成」を宣言した北朝鮮が非核化と引き換えに体制保証を求め、東アジアの平和構築を目指すという国際的な問題が議論される。

 「目指すところは南北の共同繁栄だ。それは米朝、日朝関係の発展とセットであり、中国の支持も必要だ」。文氏は19日、韓国メディアの社長との懇談会で、朝鮮半島の平和には関係国の足並みがそろうことが重要だとの認識を示した。

 念頭には朝鮮戦争の終息を意味する「平和協定」の締結がある。1950年に始まった朝鮮戦争は53年、米国主導の国連軍と北朝鮮、中国が「休戦協定」を締結したものの、現在も「戦争状態」が続く。その解消を目指す文氏は南北首脳会談で、関係国による平和協定締結へ向け、弾みがつくような包括的な合意を目指しているもようだ。

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 北朝鮮は20日、朝鮮労働党中央委員会総会を開催したとみられる。北朝鮮が総会の開催を公表した18日、安倍晋三首相と会談したトランプ米大統領が「場合によっては北朝鮮と会談しないかもしれない」と発言したことが先行して報じられた。韓国紙、朝鮮日報は「米国が正恩氏の非核化の姿勢に不満があるとのメッセージだ。正恩氏が慌てて総会を招集した可能性がある」とする北朝鮮の元高官の分析を伝えた。

 総会では、正恩氏が国際社会との平和共存を宣言するとの見方がある。だが、これまで米国などとの合意を何度も裏切って核・ミサイル開発を続けた北朝鮮への不信感はなお根強い。

 「過去の失敗を繰り返すことはできない」。文氏の決意は固いが、非核化の具体的な道筋は見えていないのも事実。韓国外務省は23日、日本との高官協議に臨み、24日には米高官とも意見交換を行う。南北首脳会談が「非核化」という歴史的な挑戦の第一歩になるのか。関係国の擦り合わせはぎりぎりまで続く。

=2018/04/21付 西日本新聞朝刊=

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