遺跡があるレストラン閉店へ 史跡巡りで親しまれ18年、惜しむ声 筑紫野市

西日本新聞 ふくおか都市圏版

 筑紫野市二日市中央5丁目のレストラン「ポルタータ」が、5月末で閉店する。気取らないイタリアンの店として親しまれただけでなく、敷地内に古都・大宰府の重要遺跡があり、町歩きイベントでは見学地の一つという役目も果たしてきた。地元の人に惜しまれながら、18年間の歴史に幕を下ろす。

 店は2000年7月7日、かつてステーキレストランチェーンの役員をしていた原来太さん(70)が開いた。福岡勤務時代に筑紫野市に自宅を構え、当時は洋菓子店だった建物前の県道をいつも通っていたのが縁だった。

 役員を退任後、知り合いだった洋菓子店の運営企業役員に何げなく経営状況を尋ねると、あまり芳しくないという答えだった。「それなら半分を自分が借りて、夢だったイタリアンの店を開こう」。大胆な決断だったが、付近に類似店がなく、成功が見込めるとの分析もあった。

 調理経験はないため料理人を雇い、自身も修業を重ねて開店。最初の2年は赤字だったが、味が浸透して人気が出て以降は黒字続き。洋菓子店の撤退後は、建物全体に店を広げた。

 閉店は経営難が理由ではない。「70歳を節目にと、ずっと考えていた。閉めるのにも体力が必要だから」。特に従業員の再就職先の確保に神経を使った。

 市教育委員会によると、大宰府政庁から南下する朱雀(すざく)大路の側溝や路面などが見つかったのは1991年で、洋菓子店建設に伴う発掘調査の際だった。遺跡は埋め戻されたが、敷地の端に再現遺構が設置され、誰でも自由に見学できるようになっていた。遺跡は92年に市文化財に指定され、説明版も設置された。

 市内のまちづくり団体「身近な歴史お話会」は、ポルタータに立ち寄る町歩きなどを、何度も開いてきた。地権者によると、閉店後も立ち入り可能とするかどうかは未定で、お話会の井上初恵代表(62)は「歴史を体感できる特別な場所だっただけに、閉店は残念」と話す。

 出会いを求めて七夕の日に開店し、原さんが出会った客は約40万人。「家族ぐるみの付き合いになった方もいて、私の財産。皆さんに支えられた幸せな18年間でした」と笑顔を見せる。

 お話会は25日午後1時から、ポルタータを訪ねる最後のイベントを開催。福岡女学院大生涯学習センター講師の清原倫子さんの解説を聞きながら、原さん調理の赤米のリゾット、豚肉のグリルなどを味わう。参加費2千円、定員60人。申し込みは井上代表=092(924)1885。

=2018/04/21付 西日本新聞朝刊=

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