「こんな川、すぐ崩れる」梅雨に不安抱える住民 豪雨被災地の福岡県朝倉市

西日本新聞

 昨年7月の九州豪雨で河川の氾濫や斜面の崩壊が相次いだ福岡県朝倉市の山間部では、住家の周辺から土砂や流木の大半が撤去されたものの、上流部に手付かずの流木が横たわる。「少ない雨量でも大きな被害が出るのではないか」。住民たちは梅雨入りを前に、危険と不安の中にいる。

 赤谷川からの氾濫水が家や農地をのみ込んだ朝倉市松末(ますえ)地区の本村集落。川岸は大型の土のうなどを置く応急復旧が施されただけで、裏山も崩落したままだ。大半の被災者は仮設住宅などに移ったが、今も9世帯が暮らす。

 そのうちの一つ、樋口好澄さん(72)方と隣家の2軒は高台にあり、住民は大雨が降ればどちらかの家に自主避難することになっている。だが2軒の裏山には、大量の土砂と流木がむき出しのまま。樋口さんは「これじゃ避難しても安心できんですよ。早く撤去してほしい」と言う。

 そばの赤谷川支流も重機で川底を掘っただけだ。河道の幅と深さはともに1メートル余りで、被災前とほとんど変わらない。樋口さんが3月、現場を訪れた市幹部に訴え、2軒の近くには護岸を守る大型土のうが置かれたが、上流部は手付かずだ。「こんな川、すぐ崩れてあふれる」。樋口さんは不安を隠さない。

 早期避難を促す市の基準見直しについて、松末地域コミュニティ協議会の日隈繁夫事務局長(59)は「地区の自主的な取り組みとして、雲行きが怪しくなれば互いに声を掛けるようにしているが、行政が基準を前倒しすることで、より住民の安全な避難につながると思う」と評価する。

 市は二次災害対策プロジェクトチームを立ち上げたほか、住民の要望で土砂や流木を撤去する場合、事業費に義援金を充てることも始めた。ただ、崩れた山腹に立木が倒れ、谷間に引っ掛かったままの場所は無数にある。防災工事が滞っている最大の理由は、そもそも道がなく現場に重機を入れられないことにある。

 例年6月上旬の梅雨入りまで1カ月余り。いつ土砂と流木が再び流れ下り、凶器となって住家を襲わないとも限らない山あいで、樋口さんたちの厳しい暮らしが続く。

=2018/04/24付 西日本新聞朝刊=

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