国会の混乱 与野党とも正常化へ動け

西日本新聞

 異常な国会の混乱である。憲法が「国権の最高機関」「唯一の立法機関」と定めた国会の本来あるべき姿へ早急に立ち返るべきだ。

 衆参両院の予算委員会はきのう、立憲民主党や民進党など主な野党が欠席したまま、安倍晋三首相が出席する集中審議を行った。野党の質問時間は長い沈黙に包まれ、異様な国会を象徴していた。

 野党は、森友学園への国有地売却を巡る財務省の決裁文書改ざんや前財務事務次官のセクハラ疑惑に伴う麻生太郎財務相の引責辞任、加計(かけ)学園の獣医学部新設で関与が指摘される柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問を要求している。

 これに対し、与党は「ゼロ回答」で、野党の意向に構わず審議を進めるというのが混乱の構図だ。集中審議も野党不在の予算委理事懇談会で決めた。

 25日には野党欠席の衆院厚生労働委員会で生活保護法改正案などを可決した。政権が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案もきょう、審議入りの予定だ。「野党抜き国会」が進む異常事態である。

 混乱の第一義的な責任は疑惑や不祥事が相次いで発覚しているのに、迅速で的確な対応を怠っている政府と与党にある。

 事務方トップの事務次官と国税庁長官が辞任に追い込まれた財務省などを念頭に首相は「うみを出し切る」などと語るが、真相解明に指導力を発揮しているようには見えない。

 財務相として任命責任を問われる麻生氏だが、当事者能力を欠くような言動には与党内からも批判を浴びている。その与党も柳瀬氏喚問を拒むなど、全容解明に前向きとは言い難い。

 議席数で圧倒する与党が無理を押し通せば国会はさらに混乱する。野党の審議復帰へ環境を整えるのは与党の務めだ。

 一方、欠席戦術しか見いだせない野党も知恵が足りない。少数野党に攻め手が限られるのはやむを得ない現実だが、審議拒否だけでは疑惑解明を願う国民の期待に応えられまい。

 野党6党は欠席戦術をとりつつ、ほぼ連日の「合同ヒアリング」で関係府省庁を追及している。であるなら、国会審議で新たな事実や政府説明の矛盾点をぶつけ、野党主導で解明につなげることも可能ではないか。

 混乱の影響で、野党が対案を出していた生活保護法などの改正案は、議論が深まらないまま衆院厚労委で可決された。これでは野党も国民に対する責任を果たしたことにはならない。

 政治や行政に対する国民の不信を解消するのは立法府の使命である。与野党は「言論の府」へ国会を正常化させるべきだ。

=2018/04/27付 西日本新聞朝刊=

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