大学4年の夏、本紙の最終面接で役員に問われた
大学4年の夏、本紙の最終面接で役員に問われた。「君はヘビやカエルも食べるのかね」と。私は履歴書の特技欄に「どこででも寝られる。何でも食べる」と書いていた。ふん、意地悪な質問をするもんだと心の中で毒づいたが、今思えば幼稚だった。
先日、年配の方々と思い出の食を語り合った。「おじさんのところで、よくヘビを食べた。さーっと皮を剥いで」と男性がしぐさを交え、懐かしそうにおっしゃる。別の男性は蜂の巣を割り、蜂の子を生で食べたそうだ。「そりゃ1匹や2匹、刺されるよ」と平気な顔でおっしゃる。
カエルをくわえて体を裂き、内臓を取り出して魚釣りの餌にした。と、目が点になる体験談も聞いた。ヘビはうまくないが、カエルはなかなかの味であったそうだ。
戦後の満足に食べられない時代。先輩方は野や山で、生きるために食べた。能天気な若造の「特技」とは訳が違う。 (前田隆夫)
=2018/05/01付 西日本新聞朝刊=