大分・耶馬渓、風評でGW苦境 山崩れ後、観光売り上げ激減 中津市、対策予算計上へ

西日本新聞

 6人が犠牲となった大分県中津市耶馬渓町金吉(かなよし)の大規模山崩れが、ゴールデンウイーク(GW)の地元観光業を直撃している。新緑の美しい今は秋の紅葉に次ぐ書き入れ時だが、「耶馬渓は危険」というイメージが全国的に流布し行楽客が激減。青の洞門など観光地の関係者は頭を抱えている。影響が長期化する恐れも強く、市は風評被害対策費として約2千万円の予算を計上する方針を固めた。

 奇岩と木々がつくる絶景「一目八景」などで有名な深耶馬渓地区。地元商店会の高榎利彦会長(62)は「山崩れ以降、売り上げは例年の1、2割。公共駐車場に観光バスがほとんど来んし団体客はほぼゼロ」と嘆く。高榎会長が営む飲食店も観光シーズンに向けた改装工事が終わる直前だった。

 山崩れに関連して一目八景や青の洞門のことが全国に報道された直後から、「耶馬渓は大丈夫?」「道路は通れるのか」といった問い合わせが殺到。食事予約のキャンセルも相次いだ。

 災害現場と一目八景は直線距離で約5キロ離れており谷筋も違う。だが「言っても理解してくれる客はわずか。年間売り上げの2、3割を占める大事な時期なのに、何とかならんもんか」。多くの犠牲者が出たことに配慮してイベント中止も相次いだ。飲食業の相良修一朗さん(58)は「集客力がさらに落ちてダブルパンチ」と肩を落とす。

 影響の長期化を懸念する声も出始めた。旅館業の小畑吉太朗さん(74)は「GW中のキャンセルよりも、その後の予約がないことが一番心配」。相良さんも「一度付いた(悪い)イメージの払拭(ふっしょく)には時間がかかるだろう」と気をもむ。

 地元の切実な声を受けて耶馬渓の安全性や快適性をアピールするため、市は福岡市や北九州市発のバスツアーを計画するなど風評被害対策に本腰を入れる。関連予算案を6月定例市議会に提案する予定だ。

 地元も今夏、福岡市で安全な耶馬渓をPRする計画。中津耶馬渓観光協会理事で飲食店経営の相良淳司さん(53)は「市の動きを待っていては遅い。仲間とともにJR博多駅や福岡市の天神に立って、多くの方々に『耶馬渓は元気で安全』と訴えたい」と必死だ。

=2018/05/01付 西日本新聞朝刊=

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