<4>自力を試される「2世」

西日本新聞

 立候補の決意から投票日まで約4カ月。短い準備期間にもかかわらず、定数25の長崎県大村市議選で、26歳の若者が堂々の4位当選を果たした。

 2015年に初当選した小林史政(29)。票を動かせる何かがあったわけではない。父が県議であることを除けば。

 長崎県議の父克敏(73)は、副議長や自民党県連役員を務めた経歴を持つ。集会を開けば千人規模の動員力があり、県議会での質問時には後援者たちがバスで傍聴に駆け付ける。

 小林は高校卒業後、専門学校を経て理学療法士になり、家族が経営する地元の福祉施設で働く。市議転身は「次世代を担う後継者が必要」という父の後援会幹部が口説いた。選挙戦は父の指南を受けた。

 2世批判は聞こえるが「要は議員として何をやるかだ」と焦りはない。自身の社会経験の乏しさは自覚している。今も「人生の大先輩」と話すと緊張し、「腹を割って話せているだろうか」と心配になる。

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 福岡市議の新村優(37)も2世議員。自分から政治の世界に飛び込んだ。

 横浜市に住み、大手飲料会社の営業マンだった09年、他社から引き抜きの声が掛かった。「今の仕事に人生を懸けていいのか」と思い悩み、政治家への転身を決意した。父雅彦(65)は当時、福岡市南区選出の福岡県議だった。

 11年市議選で、地元の南区ではなく博多区から無所属で出馬し、落選した。15年市議選に向け、やはり南区から挑戦することにした。ところが父が所属する民主党県連内に「世襲批判」が起きた。そのあおりで父も無所属になった。

 父は県議選、息子は市議選。統一地方選で投開票日も重なった。だが親子は同じ選挙区でも共闘せず「事務所の行き来さえしなかった」。結果は新村が当選し、父は落選した。

 新村には父に頼らず地域を歩き、自分の力で支持を広げた自負がある。「父とは別人格。2世という色眼鏡で見られたくない思いはある」

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 「あの穴見さんの関係? なら応援するわ」

 そう話し掛けてきた有権者に頭を下げた。17年の大分市議選に挑んだ穴見憲昭(34)は、いとこの自民党衆院議員、穴見陽一(48)の知名度と影響力を思い知った。

 会社勤めの後、陽一の地元秘書を約5年務めた。地盤の大分市で市民の要望や陳情をこまめに拾う役回り。穴見が陽一の親族だと分かると「ほかの秘書よりも代議士と近い」と受け取る市民もいた。

 「代議士事務所が丸抱え」「楽勝の彼に支援は無用」。他陣営が流すやっかみと風評にさらされた市議選は、危なげなく上位で初当選した。ただし「選挙の強さと、議員としての良さは全く別」。地元回りの合間を縫い、県外にも出掛けて政策の勉強や人脈づくりに励む。

 「身内が政治家」の威力は計り知れない。本物の実力をつけ、地域の役に立つ存在になれるか。「2世」たちは日々試されている。 (敬称略)

=2018/04/21付 西日本新聞朝刊=

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