「世界の祈りの場に」 天草市・崎津集落世界遺産へ 教会、信徒ら喜びの声

西日本新聞

 待ちわびた吉報は、4日の未明に舞い込んだ。「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(長崎、熊本)の世界文化遺産への登録勧告。県内唯一の構成資産「崎津集落」(天草市河浦町崎津)の地元関係者は喜びの声を上げた。

 漁船が並ぶ入り組んだ漁港の近く。崎津教会は、禁教下に潜伏キリシタンを見つけ出すため「絵踏み」が行われた庄屋跡に1934年、フランス人宣教師のハルブ神父が建設した。世界文化遺産の登録勧告の知らせに、渡辺隆義主任司祭(69)は「(歴史的に)重要な場所であり、そこが大きく評価されたのではないか。世界遺産となれば、教会は世界の祈りの場になる。日本のキリシタンの歴史を正しく理解してもらういい機会になれば」と話した。

 元信徒会長の海付(うみつき)親治さん(70)は「先祖が弾圧にも負けず、信仰を守り続けた証しで報われた。世界遺産にふさわしいまちづくりとおもてなしで地域を元気にしたい」と歓迎した。

 普段は静かな集落が観光地化することで、駐車場やトイレの確保、ごみの増加などの懸念もつきまとう。地元の富津地区振興会の森田勝喜会長(67)は「景観や雰囲気が保たれながら、地元の活性化につながることを期待したい」と注文した。

 天草市によると、崎津集落への観光客は年間約8万人で、登録後は同約16万人を見込む。市世界遺産推進室の丸林真吾室長は「集落の高齢化や人口減少が進む中で、地域の活性化につながるように期待するが、観光と信仰、活用と保存は両輪。地元に迷惑がかからないようにしたい」。

 同市の天草宝島観光協会の赤木聖一事務局長(33)は「波及効果を期待している」と話し、崎津地区だけでなく天草地域の食やイルカウオッチング、自然景観を観光客に楽しんでもらうなど地域資源の活用に取り組む考えだ。

■登録へ最善尽くす

 蒲島郁夫知事の話 世界文化遺産にふさわしいという評価を受けたことは大変喜ばしく、多くの皆さまのお力添えに感謝申し上げる。今後も国や長崎県、天草市など関係自治体と緊密な連携を図りながら、6月の世界遺産委員会で、勧告通りに世界遺産一覧表に記載されるよう、最善を尽くす。

■世界の宝に誇り

 天草市の中村五木市長の話 天草の歴史と文化が世界の宝になることは大変な誇りだ。天草を日本全国のみならず世界に発信する絶好の機会でもある。地域住民の安心安全を確保しながら、資産の保全と交流人口の拡大、地域活性化に取り組みたい。

=2018/05/05付 西日本新聞朝刊=

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